鉄道各社、自動運転に本腰 人材難背景、新幹線も

東京, 4月30日, /AJMEDIA/

鉄道各社が、自動運転導入に向けた取り組みに本腰を入れつつある。安全面のリスクなどから既存の一般的な路線では導入されていなかったが、人口減少で運転士などの確保・養成が徐々に困難となり、業務効率化が不可欠となってきたためだ。
 JR東海は3月、東海道新幹線で走行試験を重ねている自動列車運転装置(ATO)を搭載した車両を、2028年ごろから順次導入する方針を表明した。運転士は発車ボタンを押すだけ。走行中の速度は自動調整で、各駅に定時定位置で停止する仕組みだ。運転士は、車掌が担ってきたドア開閉など運転と別の業務も担当できる。代わりに車掌をより乗客対応に集中させる方向で、金子慎社長(当時、現会長)は「業務を分担することが可能になる」と利点を強調した。
 鉄道の自動化レベルには「GoA」という基準があり、既存の路面電車や一般的な路線が相当するGoA0~1から、新交通システムなど乗務員ゼロのGoA4までに分類される。東海道新幹線で導入を図るのはGoA2だ。
 丸ノ内線や有楽町線などで既にGoA2を実用化している東京メトロは3月、運転士の代わりに車掌が列車の先頭に乗務するGoA2.5段階の実証試験を25年度から丸ノ内線で始めると発表した。列車は無線システムで制御し、車掌は緊急停止操作などを担う。国内での実用化例はまだない。
 また、JR東日本は昨年、山手線の営業列車でATOの実証運転を実施。「約14%の消費電力量削減効果」も確認されたという。28年ごろまでに導入する方針で、将来的には列車の先頭は無人で、車内巡回の車掌のみ乗務するGoA3段階の実現を目指している。
 地方では、JR九州が踏切のある非高架路線の香椎線で、24年度末までの導入を目標にGoA2.5の実証運転を行っている。全国的に課題となる不採算ローカル線問題の解決策となるかも注目される。
 ただ、自動運転を前提に高架で整備された新交通と違い、駅間距離が長く踏切やトンネルもある既存路線の自動化は、事故や故障リスクの低減が課題となる。このため国は、安全確保の技術的要件の考え方を昨年9月にまとめるなど円滑な導入を後押しする姿勢だ。

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