財政支出、規模めぐり綱引き 「30兆円以上」の声も―経済対策

東京, 10月1日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相は30日の閣議で、総合経済対策の策定を正式に指示した。物価高騰や賃上げへの取り組み、円安を生かした「稼ぐ力」の強化、政権の看板政策「新しい資本主義」の加速などが柱。対策に伴う財政支出の規模をめぐり、自民党内では30兆円以上を求める声があり、政府・与党で調整する。
 首相は「あらゆる政策を総動員し、『戦後最大級の難局』に対峙(たいじ)していく」と強調。「構造的な賃上げに向けて、人への投資の抜本的強化と成長分野への労働移動を同時に強力に推進する」と述べた。
 対策には、電気料金値上げの負担を軽減する制度の創設も盛り込む。このほか、食料品などの価格高騰が家計に与える影響が大きい低所得者への支援を検討する。また円安メリットを生かした、インバウンド(訪日外国人旅行者)の回復策や農産物の輸出拡大策なども浮上している。
 政府は6月に閣議決定した「新しい資本主義」の実行計画で、「人への投資」として、デジタル人材の育成や非正規労働者の技能向上などに3年間で4000億円規模の施策パッケージを講じることを盛り込んだ。今回の経済対策は同パッケージを拡充する方向だ。
 政府は経済対策を10月末に取りまとめ、その財源の裏付けとなる2022年度第2次補正予算案を次期臨時国会に提出する。
 財源は赤字国債の発行などを検討。補正の規模をめぐっては、自民の世耕弘成参院幹事長が「(21年度補正予算と同規模の)30兆円が発射台だ」と巨額の財政出動をぶち上げた。一方、首相は28日の講演で「30兆円のうち、半分以上がコロナ対策だった」と述べ、今回とは状況が異なるとの認識を示しており、隔たりは大きい。

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