複合企業、分割相次ぐ 東芝や米GE、税制も後押し

東京, 11月14日, /AJMEDIA/

複雑な事業構成を持つ「複合企業」が、経営体制の見直しを加速させている。東芝は12日、資本関係のない独立会社として特定の事業を切り出す「スピンオフ(分離・独立)」と呼ばれる手法で、2023年度下期にインフラとデバイス、関連会社株式管理の上場企業3社に分割・再編する計画を公表。意思決定を迅速化し、企業価値向上を目指す。
 事業の多角化はリスク分散につながる半面、求められる経営スピードや取り巻く環境が異なる複数の事業を抱えると、企業価値が個別事業を足し合わせた価値よりも低く見積もられる「コングロマリット・ディスカウント」が起きやすくなるとされる。欧米では近年、有力企業がスピンオフを活用する事例が相次いでいる。
 東芝とも関係の深い米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)は9日、航空、医療機器、電力を中心とする3事業に再編し、3社に分割する計画を発表した。米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も12日、消費者向け事業を分離する方針を表明した。
 日本政府は17年度税制改正で、一定の要件を満たせば、スピンオフの際に株主や企業に税金がかからないようにする措置を講じ、機動的な事業再編を後押しする。これまでに適用されたのは、カラオケチェーンを運営するコシダカホールディングスのみだ。
 東芝もスピンオフ税制の活用を目指している。東芝の畠沢守副社長は12日の記者会見で「経営の環境が変わるスピードが速い中、昔ながらの(事業の)色が混じり合った状態の経営判断では追い付かない」と狙いを語った。
 ただ、事実上の「解体」に向かうとの見方もあり、分割によって規模が小さくなれば、大胆な投資が難しくなる恐れもある。競争力の向上に向け、分割後の成長戦略が問われる。

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