行動制限ない夏、家計は厳しく 実質賃金減、消費伸び悩み―7月統計

東京, 9月7日, /AJMEDIA/

 7月の家計の収入や支出動向を示す統計が6日、相次ぎ発表された。3年ぶりに行動制限のない夏を迎えたが、物価高や新型コロナウイルスの感染再拡大で家計のやりくりが難しくなっている様子が浮き彫りとなった。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を反映させた7月の実質賃金は前年同月比1.3%減と、4カ月連続のマイナス。働き手1人当たりの現金給与総額は、残業代や賞与の増加を受けて、1.8%増の37万7809円となったが、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は3.1%上昇。物価の伸びの方が高く、購買力を示す実質賃金はマイナスが続く。
 総務省の家計調査では、7月の1世帯(2人以上)当たりの生活費に相当する消費支出は、外出の増加に伴って実質ベースで3.4%増と2カ月連続で増えた。緊急事態宣言が発令されていた前年に比べ、宿泊料が5割増、航空運賃が約2.2倍となるなど、外出関連支出が大きく伸びた。
 それでも、消費支出は市場予想(4.2%増)には届かず、季節調整済みの前月比では実質1.4%減と、2カ月ぶりのマイナスに転じた。7月に入って感染が再拡大した影響とみられる。
 個人消費は、4~6月期に実質GDP(国内総生産)がコロナ禍前の水準を回復するけん引役となった。しかし、今回の統計から透ける個人消費の動きは「7~9月期の滑り出しとしては弱め」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)となった形だ。今後、原材料の高騰や円安を受けた値上げも本格化する見通しで、景気回復ペースの鈍化が懸念される。

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