自民補選応援、派閥で濃淡 安倍・麻生・二階派注力―一歩引く茂木・岸田・森山派

東京, 4月21日, /AJMEDIA/

23日の衆参5補欠選挙の投開票に向け、自民党各派閥の選挙応援の力の入れ方に濃淡が生じている。候補者の色分けがある程度進んでいることなどが要因だ。派閥間の駆け引きが党としての総力戦の足かせになっている面も否定できない。
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 「大変厳しい戦いだ。最後の声掛けをお願いしたい」。自民党最大派閥・安倍派の塩谷立会長代理は20日の同派会合でこうハッパをかけた。「今からだと電話が一番有効だ」とも強調した。
 安倍派が最も力を入れるのは、岸信夫前防衛相と安倍晋三元首相の後継を選ぶ衆院山口2、4区だ。3月初めに派閥の選対本部を設置。山口では補選後に衆院小選挙区の「10増10減」を巡る他派との公認争いを控えるだけに、派幹部は「絶対に負けられない」と意気込む。
 勢力拡大を狙う安倍派は所属議員が多い参院大分選挙区にも注力する。同派若手は「いずれの候補も当選すれば安倍派だ」と語った。
 第2派閥の麻生派は衆院千葉5区が主戦場だ。麻生太郎会長の側近の薗浦健太郎元衆院議員の辞職に伴う補選である上、同派所属の河野太郎デジタル相が候補と関わりが深いからだ。麻生氏は20日の派閥会合で「火事は最初の3分、選挙は最後の3日間だ。最後の詰めを」と檄(げき)を飛ばした。
 麻生派は「政治とカネ」の問題が補選の引き金を引いた経緯を考慮し、これまで「派閥が前に立てばイメージが悪い」(関係者)と表立った活動を控えていたが、21日に麻生氏が初めて千葉5区候補の応援演説に立つ。
 衆院和歌山1区は、二階派が秘書団を投入するなど選挙戦の前面に立つ。和歌山は県連会長を務める二階俊博元幹事長の「牙城」。同区は自民党と日本維新の会の事実上の一騎打ちとなっており、伊吹文明最高顧問は20日の派閥会合で「維新の勢いはすごい。民主党政権前夜と似ている」と危機感を示した。
 もっとも、同区の候補者選びでは二階氏と安倍派幹部の世耕弘成参院幹事長が激しい綱引きを繰り広げ、最終的に世耕氏が推す候補に軍配が上がった経緯がある。このため、派内からは「二階氏は本腰を入れていない」(関係者)との声も漏れる。二階氏は20日の会合のあいさつで補選に言及しなかった。
 茂木、岸田、森山各派にとっては、領袖(りょうしゅう)の茂木敏充幹事長、岸田文雄首相、森山裕選対委員長の求心力にかかわる戦いだ。ただ、3派が抱える候補はおらず、他派より一歩引いた形で活動している。岸田派の根本匠事務総長は20日の派閥会合で「総力戦を」と呼び掛けたが、同派関係者は「具体的な指示は出ていない」と語った。

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