脱「東京集中」へ知事連合 令和臨調と連携、国にいら立ちも―人口減対策で世論喚起・22県

東京, 11月14日, /AJMEDIA/

 産学の有識者が構造的課題の改革を目指す「令和国民会議(令和臨調)」に賛同する22県の知事が今月、有志による知事連合を結成した。人口減少対策など地方が抱える課題について、令和臨調と連携して提言する。有志知事の間には、国が東京一極集中の是正を掲げながら、なかなか効果が表れないことへのいら立ちがあり、直接世論に働き掛けたい考えだ。
 知事連合では、人口減を見据えた「国土構想」に関するテーマで令和臨調とタッグを組み、地方移住や企業移転、外国人材受け入れなどで地方側の主張を発信する。代表世話人の村井嘉浩宮城県知事は今月7日の結成記者会見で「先送りされてきた課題を前に進めるため、地方の視点を重視した国民運動を展開する」と宣言した。
 村井氏によると、前岩手県知事で令和臨調共同代表の増田寛也日本郵政社長から結成の打診を受け、両氏で顔ぶれを決めた。ある参加県幹部は「2人は旧知の仲。メンバーも人口減の問題意識を共有している」と語る。
 増田氏らは2014年、若年女性が40年までに半分以下に減る896市区町村を「消滅可能性都市」として公表。国は「地方創生」を掲げ、移住や本社機能移転などを支援してきた。ただ、東京都ではコロナ禍で一時、転出者が転入者を上回ったものの、今年に入ると再び「転入超過」に戻り、5月には人口が1400万人を回復した。
 全国知事会も一枚岩ではない。象徴的だったのは19年の全国知事会議での議論。当時、知事会内には「東京一極集中の是正」を国に求める動きがあった。しかし、小池百合子都知事が「国内で限られたパイを奪い合っても日本全体のためにはならない」と猛反対。提言書は全ての知事の賛成が原則のため、この文言は削除された。
 知事会幹部は「一極集中は知事会ではまとまらない問題。別部隊の方が効果的かもしれない」と語る。前知事会長の飯泉嘉門徳島県知事は「分散型国土の創出には国民の理解が必要。令和臨調はその絶好の機会だ」と期待を寄せる。
 ◇「知事連合」参加者
 令和臨調に賛同する「知事連合」参加者は以下の通り。(敬称略)
 達増拓也(岩手)、村井嘉浩(宮城・代表世話人)、内堀雅雄(福島)、大井川和彦(茨城・世話人)、熊谷俊人(千葉)、新田八朗(富山)、杉本達治(福井)、長崎幸太郎(山梨)、阿部守一(長野)、一見勝之(三重)、三日月大造(滋賀)、斎藤元彦(兵庫)、平井伸治(鳥取)、丸山達也(島根)、伊原木隆太(岡山・世話人)、湯崎英彦(広島・世話人)、村岡嗣政(山口)、飯泉嘉門(徳島)、浜田省司(高知)、大石賢吾(長崎)、河野俊嗣(宮崎)、塩田康一(鹿児島)。

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