物価上昇、「異次元」春闘に 産別労組、高水準の要求

東京, 2月7日, /AJMEDIA/

 歴史的な物価上昇で賃上げが例年以上に期待される中、今年は「異次元の春闘」が展開されている。産業別労働組合(産別労組)では、流通や繊維などの労組で構成するUAゼンセンが基本給を底上げするベースアップ(ベア)で「4%程度」を掲げるなど、過去最高水準の要求が目立つ。今後、傘下の労組が納得のいく回答を引き出せるか経営側との交渉が注目される。
 産別労組の上部団体である連合は、政府が賃上げを要請する「官製春闘」が始まった2014年以降、ベア要求を続けてきた。今年は目標水準を3%程度(前年は2%程度)に設定した。
 UAゼンセンは昨年まで2%程度だったベア要求を大幅に引き上げた。このほか、金属産業の中小企業労組が多く加盟するJAMが「月額9000円」、航空連合も3年ぶりに要求額を設定して「6000円以上」とするなど、結成以来最高水準のベア要求が並ぶ。電機連合も統一要求額として25年ぶり高水準の「月額7000円以上」を掲げた。
 また、ホテルや旅行会社などの「サービス・ツーリズム産業労働組合連合会」は、要求を「1%以上の実質的な賃金改善」と昨年水準に据え置いたものの、「すべての加盟組合」が賃金改善を求める3年前の方針に戻した。
 昨年までの春闘は、長らく物価が低迷したことで実質賃金が大きくマイナスになる事態には至らない中での交渉だった。労組側からは、バブル崩壊後の金融危機や08年のリーマン・ショックなどを受けて「雇用を最優先した結果、賃金に最後までこだわってきたとは言い切れない部分があった」(金子晃浩金属労協議長)と反省の声が聞かれる。
 足元の労組組織率は16.5%と低迷している。特に中小企業の未組織率は99%に上るといい、JAMの安河内賢弘会長は「春闘を勝ち取るだけではなく、未組織の企業に波及させることが大事だ」と指摘している。

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