混乱回避へ移行大詰め LIBOR、停止まで1カ月

東京, 12月01日, /AJMEDIA/

金融取引の指標として幅広く活用されてきた円建ての「ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)」の公表停止まで、残り1カ月となった。金融機関などは後継となる基準金利への切り替えを急いでおり、作業は大詰め。ただ、切り替えが間に合わなければ金融市場が混乱する恐れもあり、金融庁や日銀は作業状況を注視している。
 LIBORは、世界中の金融取引で用いられてきた指標金利。金融機関が融資をする際は、「LIBOR+X%」などのように金利を決める基準として利用されてきた。また、民間資金活用による地方自治体の社会資本整備(PFI)でも活用された。ただ、2012年の不正操作問題を受けて廃止が決定。円LIBORは今年末に公表が停止され、利用できなくなる。
 このため年明け以降、基準を別の金利に切り替えていない契約や決済に支障が出る可能性もある。切り替えが必要な円LIBORを利用した取引残高は、金融派生商品(デリバティブ)を含め、20年末で2000兆円規模に達していた。
 円LIBORの後継金利は複数あるが、銀行間市場の取引を対象に算出される金利が代表的。金融庁と日銀が、メガバンクや地方銀行など国内の主要27金融機関を対象に行った調査(9月末時点)によると、満期が今年12月末を超える契約のうち、最も取引が多いデリバティブは全体の99%で後継金利への切り替えが完了した。貸し出しも全体の85%で契約の切り替えが済んでおり、ある日銀幹部は「ここまでの移行作業は極めて順調に進んでいる」と評価する。
 また、9月末時点で契約変更が未了のものでも、大半が当事者間で後継指標への切り替えが合意されている。金融庁と日銀は「本当に移行が困難な既存契約は特定されていない」と指摘する。
 ただ調査では、切り替えが年明け後にずれ込む取引も一部にあるとの報告があった。金融庁と日銀は後継金利への移行完了に向け、万一の事態への対応を含め万全を期す構えだ。

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