法人・所得・たばこ増税決定 防衛強化、岸田首相「安定財源で」―実施時期は明示せず・与党税制大綱

東京, 12月17日, /AJMEDIA/

 自民、公明両党は16日、2023年度与党税制改正大綱を決定した。最大の焦点となった防衛費増額の税財源は、法人税、復興特別所得税、たばこ税を充てる方針を明記。3税目の増税実施時期は「24年以降の適切な時期」とし、結論を先送りした。反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有など戦後の安全保障政策の大きな転換となる防衛力の強化は、安定財源が曖昧なまま走りだすことになる。
 岸田文雄首相は同日、首相官邸で記者会見し、防衛力の抜本強化に関し「借金で賄うのが本当に良いか、自問自答を重ね、安定的な財源で確保すべきだと考えた」と述べ、防衛増税について国民に理解を求めた。
 岸田首相は防衛財源の確保へ、税目、税率、実施時期の3点について年内決着を指示していた。大綱では3税目を明示し、27年度にかけて複数年にわたり段階的に増税を実施し、同年度に1兆円強の追加の税財源を確保する方針を示した。
 一方、増税の実施時期は明示せず、来年の税制改正論議で協議する。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は来年末にかけての24年度税制改正論議に先行して防衛増税の詳細を議論し、結論を得る可能性があるとの認識を示した。
 法人税は本来の税率を変えず、税率4~4.5%の新たな付加税を課す。原材料価格の上昇などに苦しむ中小企業に配慮し、所得換算で約2400万円の控除を設ける。この結果、付加税の対象は全法人の6%弱となる。
 所得税でも、税率1%の新たな付加税を創設し、当分の間、防衛力強化の財源に充てる。併せて、東日本大震災の復興予算に充てている復興特別所得税の税率を現在の2.1%から1%引き下げることで、少なくとも復興特別所得税の期限である37年までは、差し引きで2.1%という所得税の負担は変わらない措置とした。
 一方、被災地などの懸念に配慮し、復興財源の総額が減らないよう課税期間を延長。大綱では、廃炉など長期の取り組みへの支援に向け、「復旧・復興に要する財源は引き続き、責任を持って確実に確保する」と明記した。
 38年以降は本来の課税期間が過ぎた後も徴収は続く形となり、課税期間が延長された分、実質的な負担が増える見通しだ。当分の間徴収するとした防衛目的の付加税が恒久化する可能性について、鈴木俊一財務相は16日の記者会見で「先々のことは、27年度以降の財源確保の状況を見ないと今の段階でどういう扱いになるかは、はっきり言えない」と明言を避けた。
 たばこ税は段階的に1本3円の引き上げを実施する方針を示した。与党内からは1年目を1円とし、2年目以降は0.5円ずつ引き上げる案が出ており、来年の税制改正論議で議論される可能性がある。
 27年度時点で防衛費は8.9兆円と想定。増税で賄う1兆円強の追加財源のうち法人税で6000億~7000億円程度、所得税で2000億円程度、たばこ税で1000億円超を充てる見通しだ。

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