歴史的円安の行方を聞く 木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト

東京, 11月2日, /AJMEDIA/

 ―円安は日本経済にプラスか。
 結論から言えばマイナスだ。生産拠点の海外移転に加え、部品なども輸入品を多く使うような経済構造になり、円安の恩恵が受けにくい。もっとも、国内景気の現状は新型コロナウイルス禍からの持ち直しで比較的安定している。円安による物価高は経済には逆風だが、景気が急に失速するほどではないだろう。
 ―今後の円相場の見通しは。
 米国の利上げペースが明確に鈍化するまでは円安方向で推移しそうだ。ただ、今年春からの円安局面は終盤戦に入ってきていると思う。年末から来年1~3月にかけ、1ドル=160円の一歩手前ぐらいで円安が止まるのではないか。
 ―国力の低下が円安の一因なのか。
 確かに原油高などから日本の貿易収支や経常収支が悪化したタイミングと円安は重なっている。しかし、日米の金利差拡大が円安の要因だと考えている。日銀は現在の大規模な金融緩和を継続する方針で、今の円安の流れを変えるには、積極的に利上げしている米国の政策スタンスが変わるのを待つしかない。為替介入はそれまでの時間稼ぎにすぎない。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts