有識者聴取、反撃能力で賛否 「防御に限界」「MD優先」―近く公表、安保戦略改定へ参考・政府

東京, 8月28日, /AJMEDIA/

 国家安全保障戦略など3文書改定に向け、政府が有識者と行った意見交換の議事概要が27日、判明した。敵のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)をめぐり、「専守防衛による防御のみでは限界がきている」と保有検討を求める意見の一方、「支持しない。ミサイル防衛(MD)が優先事項」との反対論も出ていた。政府は年末に改定する3文書の参考にする方針で、要旨を月末にも公表する。
 意見交換は計17回実施。有識者として森本敏元防衛相や国際協力機構(JICA)の北岡伸一前理事長、折木良一元統合幕僚長ら外交・防衛や軍事の専門家など52人を招き、政府側からは秋葉剛男国家安全保障局長や外務、防衛両省幹部らが参加した。
 国家安保戦略では、反撃能力をどう扱うかが最大の焦点。概要によると、有識者からは「専守防衛による防御のみでは限界がきている。基本的防衛政策を再検討すべきだ」として、「抑止力と対処力の強化のため、反撃能力の保有を進めるべきだ」との積極意見が出された。
 これに対し、「相手が反撃能力を抑止が成立する程度まで見積もるか疑問」「重要なのは相手に『攻撃しても撃ち落とされる可能性が高い、米国の打撃力も存在する』と思わせることだ。そのためにはMD等が優先事項」との反対論も出された。
 岸田文雄首相が防衛力の抜本的強化へ「相当な増額を確保する」とした防衛費をめぐっては、国内総生産(GDP)比2%への増額が「妥当であり、達成すべきだ」との意見が示された。
 ニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)など核抑止に関しては、「オープンな議論と核軍縮へのコミットメントは両立する」と指摘。ただ、米国の核兵器を自国に配備するドイツ型の核共有は支持しない意見が多かったという。
 このほか、情報戦への体制整備や有事の際の国民保護への対応、防衛装備・技術の海外移転の推進に向けた防衛装備移転三原則の運用見直しなどを求める意見が出た。

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