日米欧と中ロの対立鮮明 世界経済、深まる「亀裂」―APEC・G20首脳会議

東京, 11月20日, /AJMEDIA/

19日閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、日米欧と中ロの対立が激化する中、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に続き、首脳宣言の採択にこぎ着け、決裂を回避した。一方、来年のAPEC議長国である米国は、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」などを主導し、民主主義の価値観に基づく新たな国際経済秩序の形成を目指しており、世界経済の亀裂が一段と深まりそうだ。
 ロシアによるウクライナ侵攻、台湾海峡の緊迫化、北朝鮮のミサイル問題などで国際秩序が大きく揺らぐ中、APECに先立つインドネシア・バリ島でのG20サミットで、危ぶまれた首脳宣言の採択に向け大きな役割を果たしたのはインドのモディ首相だ。プーチン・ロシア大統領との会談で9月に伝えた「今は戦争の時代であってはならない」との苦言は宣言に盛り込まれた。
 G20宣言はウクライナ侵攻を「強く非難」する一方、「他の見解や異なる評価があった」とロシアの立場にも配慮。その文言はAPEC宣言にも引き継がれ、議長国タイのプラユット首相は「激動の世界でも機能するAPECを見たい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 ただ、一連の会合では日米欧と中ロが激しい勢力争いを展開。APEC会合に参加したハリス米副大統領は「この地域で米国ほどふさわしい経済的なパートナーはいない」と強調。さらに鉱物資源、食料などを武器に他国を「威圧」する中ロを念頭に「IPEFを通じて強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)を構築する」と表明した。岸田文雄首相も「IPEFの具体化に向けて関係国と協力する」と同調。IPEFに参加した東南アジア諸国連合(ASEAN)の7カ国と米国の間の「橋渡し役」を目指す。
 一方、中国の習近平国家主席はAPEC会合で演説し、「開かれた地域主義を堅持すべきだ」とけん制。米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)への加入について「引き続き推進する」と強い意欲を示した。国際経済秩序の再構築を巡る民主主義陣営と中ロなどの主導権争いはさらに激しさを増しそうだ。

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