日本、橋渡しへ問われる手腕 米・ASEANに温度差―IPEF会合

東京, 9月9日, /AJMEDIA/

 米国主導で新しい経済圏構築を目指す「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」で初となる対面での閣僚級会合は、円滑な交渉入りの実現が焦点となる。ただ、米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の間には温度差があり、調整は難航も予想される。米国とASEANの双方と近い日本が「結節点」(交渉関係者)として合意形成に貢献できるか手腕が問われる。
 米国が2017年に環太平洋連携協定(TPP)から離脱して以降、中国は経済分野などでインド太平洋地域への影響力を強めている。外務省幹部は中国包囲網を形成するためにも「(IPEFを通じて)米国をこの地域に関与させつつ、アジアを引き込むことが戦略的利益だ」と強調する。
 IPEFには日米やインド、オーストラリアなどに加え、インドネシアやタイを含むASEAN7カ国の計14カ国が参加。「サプライチェーン(供給網)」「クリーン経済」「貿易」「公平な経済」の4分野で、一部の分野だけ加わることもできる。
 ただ、交渉入りする参加国が少なければ、新たな枠組みも実効性を失いかねない。デジタル経済を含む「貿易」分野では、自由なデータ流通を規制するインドなど新興国が慎重姿勢とされる。米国が「公平な経済」で重視する汚職問題も、どこまでASEANなどの理解を得られるか不透明だ。また、IPEFは関税引き下げに踏み込まないため、米国市場への輸出拡大という「果実」を得られない新興国などのメリット作りも課題となる。
 日本は米国に柔軟なルールの導入を促しつつ、ASEANなど各国の制度改革を後押しすることで参加国の結束維持に努めたい考え。西村康稔経済産業相は「(全参加国が)利益を感じられる枠組みにしていくことが重要だ。日本として最大限貢献したい」と話している。

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