新興投資の起業家に税優遇 保有株の売却益、非課税に―政府・与党

東京, 11月10日, /AJMEDIA/

 政府・与党は、起業家らが自ら保有する株式を売却して、スタートアップ(新興企業)に投資する場合、その株式の売却益を一定額まで非課税とする優遇措置を創設する方向で検討に入った。複数の関係者が9日明らかにした。スタートアップを5年で10倍に増やす政策目標を資金供給面で支え、起業を活性化させるのが狙い。2023年度税制改正に向け、非課税額の上限や優遇を受けるための条件などを詰める。
 スタートアップは革新技術の研究開発を通じ、急成長を目指す企業。政府は新たな経済成長の担い手と位置付けているが、起業数の増加に向けては資金調達などが課題となっている。
 事業に成功した起業家が自社株式を売却する際に、スタートアップに投資すると売却益が一定額まで非課税となる仕組みなどを想定している。関係者は「富裕層優遇にならない範囲で、成功した起業家が後輩企業を育成することを応援する税制にする」と語った。
 岸田文雄首相は9月に米ニューヨーク証券取引所で講演し、「スタートアップを生み育てるエコシステムを日本に作り上げる」と表明。政府・与党が制度の検討を進めている。
 通常、株式売却益などの金融所得には税率20%が課される。政府・与党内では23年度税制改正の議論で焦点である金融所得課税の強化をめぐり、売却益への税率を引き上げると、スタートアップ起業への意欲が冷え込みかねないとの懸念もある。非課税枠の創設検討には、こうした懸念を払拭(ふっしょく)する狙いもありそうだ。
 スタートアップ関連税制について政府・与党はこのほか、大企業による買収を後押しする法人税優遇や、ストックオプション(自社株購入権)税制の拡充などを検討している。

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