新生トヨタ、試されるEV戦略 巻き返しへ実行力カギ

東京, 4月22日, /AJMEDIA

 トヨタ自動車が電気自動車(EV)戦略を本格始動させた。新体制を率いる佐藤恒治社長はこれまでの出遅れを認めつつ、「しっかりキャッチアップしていく」と述べ、急成長する世界のEV市場に挑む考えを強調する。ただ、先行する米テスラや中国勢の背中ははるか遠く、巻き返しへ残された時間も限られている。新生トヨタは、戦略を迅速に実行する力が試される。
EV、危機感持ち対応 年150万台へ生産効率・商品力改善―佐藤トヨタ社長インタビュー

 「EVの品ぞろえなどが市場の期待値に届いていない部分がある。正直、われわれの見通しよりも需要が上回っている」。報道各社のインタビューで自社のEV事業の現状について問われた佐藤氏は、率直に反省の弁を述べた。
 トヨタの2022年世界販売台数は、子会社の日野自動車とダイハツ工業を合わせたグループ全体で1048万台。2位の独フォルクスワーゲン(VW)に200万台以上の大差をつけ、3年連続で首位だった。
 しかし、EV販売では海外勢にリードを許す。調査会社マークラインズによると、トヨタの22年EV販売台数は2万台。グループ全体でも世界で28位に低迷し、1位のテスラ(126.8万台)に遠く及ばない。
 新経営体制のEV戦略では、26年までに10車種を投入し、年間150万台を販売する計画を掲げた。30年までに年350万台を目指す中期計画の「中間目標」的な位置付けだが、4年足らずで現在のテスラを上回る野心的な内容だ。
 実現に向け、EV事業を統括する専任組織を新設。1回の充電で走れる距離が2倍で、生産効率も良い「次世代EV」を投入する。米国で25年にEV生産を始めるほか、新興国でも生産に乗り出す。
 車の開発現場の経験が長い佐藤氏は、「より良い商品を提供していくための『カイゼン』がわれわれのDNAだ。スピードを上げてやっていく」と力を込める。強みを持つハイブリッド車(HV)など多様な環境車を展開する「全方位戦略」は維持しつつ、そこで稼いだ資金をEVへ積極的に振り向け、先行する欧米、中国勢を猛追する構えだ。

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