政府、口先介入エスカレート 強まる警戒、打開策見えず―円安加速で

東京, 9月8日, /AJMEDIA/

 歯止めのかからない急速な円安に対し、政府が口先介入をエスカレートさせている。鈴木俊一財務相は7日午後、記者団に「円安に一方的に振れていることを憂慮している」と強調、従来以上に強い警戒感を示した。ただ、円買い・ドル売り介入のハードルは高く、有効な打開策を見いだせていないのが実情だ。
 「これが継続するならば、必要な対応を取る」。東京市場で1ドル=144円台と24年ぶりの円安水準を更新した7日、鈴木氏は財務省内で記者団の取材に応じ、これまでとは表現を変えて為替介入をちらつかせた。
 米国の利上げを背景とする今回の円安相場が始まった3月以降、鈴木氏は徐々に発言のトーンを強めてきた。3月には「急激な変動は望ましくない」としていたが、円相場が135円台を付けた6月中旬には「必要な場合には適切な対応を取る」と為替介入の可能性に言及。140円に近づいた7月中旬には「投機的な動きも見られ憂慮している」と一歩踏み込んだ。
 過去の例を見ると、為替介入の直前には政府から強い言い回しでメッセージが出ている。民主党政権時代の2011年に円高阻止へ円売り介入を実行する直前、安住淳財務相(当時)は「投機的な動きが行き過ぎれば断固たる措置を取る」と繰り返し警告した。
 政府が急速な円安を警戒するのは、輸入物価の上昇を通じ食品などの値上がりに拍車が掛けるためだ。鈴木氏は7日、「円安のマイナス面に注目していかなければいけない」と述べ、物価高騰への懸念を示した。
 政府・日銀が円安阻止のための円買い介入を実施すれば、バブル崩壊後の金融危機に直面していた1998年6月以来、約24年ぶりとなる。しかし、米通貨当局はインフレ抑制のためドル高を容認しており、介入に対する支持を得るのは難しいとの見方が強い。

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