振り回される契約者 生保各社、コロナ給付縮小

東京, 9月2日, /AJMEDIA/

 生命保険業界が、新型コロナウイルス感染者に対する入院給付金の支払い対象を大幅に縮小する。感染者数が想定を上回り、給付金支払いが収益を圧迫。条件変更は政府の要請を受けてのことだが、契約者が振り回されるのは避けられない。生命保険協会は「丁寧に説明することが重要だ」として、各社に十分な周知期間を設けるよう求めている。
 生保協の集計によると、加盟各社が今年7月末までに支払った入院給付金の累計額は約3295億円。このうち、自宅やホテルで療養する「みなし入院」に対する支払いが9割超を占める。不正受給が疑われるケースもあり、日本生命保険は一時金の上限額を引き下げた。
 「みなし入院」に保険金を支払うのは、あくまで特例。病床逼迫(ひっぱく)の深刻化を踏まえ、2020年4月に業界の自主ルールとして導入された。保険業界に詳しい増島雅和弁護士は「みなし」の対象縮小について、入院していなくても給付金を支払ってきたのは特例的な運用だったとした上で、「正常な状態に戻るということだ」と指摘する。
 ただ、こうした事情を契約者がどれだけ認識しているかは不明だ。東京都内の保険代理店運営会社は、ある30代の男性契約者が「既存加入者にはこれまでのルールを続けてほしい」と話していたと明かした。一方、40代男性は「療養証明書を求めて医療が逼迫する点からも条件変更は仕方がない」と一定の理解を示したという。

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