就活、一段と早まる 採用急ぐ企業、学生は負担増―23年春卒

東京, 4月30日, /AJMEDIA

 2023年春に卒業を予定する大学生の就職活動が一段と早まっている。企業間の人材獲得競争が激しい上、選考のオンライン化で短期間に進められるようになり、政府が順守を求める「就活ルール」より早く内定を出す企業が目立つ。ただ、大手企業の選考のため就活を続ける学生は多く、活動期間は長期化して負担が増している。
 「周りの友人で既に内定を得た人もいる。自分は(自発的に)動けていなかった」。3月1日に東京都内で開かれた合同企業説明会に訪れた男子学生はこう漏らし、焦りの表情を見せた。「次は4次選考」と話す女子学生もいるなど、就活が早まっている実態を映し出した。
 コロナ禍で低下した企業の採用意欲は回復傾向にある。特に、技術系人材は引き合いが強く、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向け、IT人材の採用を強化する」(富士フイルムホールディングス)との声が聞かれ、成長分野では争奪戦の様相を呈する。
 リクルート(東京)の調査によると、23年春に卒業を予定する大学生の内定率は4月1日時点で38.1%と、前年同時点より10.0ポイント上昇した。説明会などの広報活動の開始が3月1日からとなった16年春卒以降で過去最高となった。
 一方、同社の調査では内定辞退率が7.2ポイント上昇して28.9%となり、2社以上内定を辞退した大学生の比率も上がった。リクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長は「新卒採用計画を満たせないまま終わり、企業戦略を進める上で影響が出る可能性がある」と分析する。
 就活の早期化は長期化も招く。ルールにのっとって6月以降に内々定を出す大手企業の結果が判明するまで活動を続ける学生が多いためだ。オンライン化で効率的に選考できるようになり、大学3年生の3月にエントリーシート提出や説明会、面接が重なって学生には重荷となっている。
 栗田所長は「学業に加え、スケジュール管理もしなければならず、学生の負担が増している」と指摘する。企業でも人材確保に不透明感が増しており、形骸化するルールの見直しが必要になりそうだ。

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