対韓国、間合い測る日本 30分協議も首脳「懇談」

東京, 9月23日, /AJMEDIA/

岸田文雄首相は21日午後(日本時間22日未明)、韓国の尹錫悦大統領と米ニューヨークで会い、懸案の元徴用工問題について政府間協議を加速することで一致した。日本側は韓国政府の取り組みを肯定的に捉えつつ、早期決着につながるかなお不透明だと判断。顔合わせは約30分間に及んだが、正式な会談ではなく「懇談」と位置付け、慎重な態度を内外に示した。
 懇談は国連総会に合わせた2国間会談などの合間、会場のビルの一室でソファに座る形で行われた。国際会議の際の協議は30分程度が普通で、「会談」としなかったのは異例。韓国大統領府は「略式会談」と発表し、一定程度歩調を合わせた。
 尹政権は対日関係改善に前向き。徴用工訴訟をめぐり、被告の日本企業の韓国内資産売却に至る前に「望ましい解決策が出るよう努力する」と表明し、原告側への働き掛けを強めている。ただ、原告側の姿勢は硬く、政権の支持率低迷もあって「現金化」回避の道筋は依然見えない段階だ。
 今回の顔合わせに先立ち、韓国側は「首脳会談の日程調整に入った」と発信するなど前のめりだった。日本から前向きな姿勢を引き出し、国内世論を引き寄せたいとの思惑もあったとみられる。
 一方、1965年の日韓請求権協定で問題は解決済みとする日本にとっては、あくまで「韓国の内政問題」だ。自民党は保守系を中心に「確実な解決策が示されるまで譲歩すべきでない」との意見が強い。安易に近づけば、むしろ決着を遠のかせるとの認識だ。
 岸田、尹両氏は今回、互いに意思疎通を続けることで合意し、「国交正常化以来の友好・協力関係の基盤に基づき、関係を未来志向で発展させる」ことを確認。北朝鮮の核・ミサイル開発に関し、米国を交えた3カ国の連携を申し合わせた。
 両氏の対面協議は今回が2回目。6月に訪問先のスペインで実現した初顔合わせは短時間言葉を交わしたものだったため、半歩前進と言える。
 とはいえ、正式な日韓首脳会談は2019年12月が最後。日韓双方が目指す「健全な関係」はまだ遠い。ある外務省幹部は今回の顔合わせを「懇談」とした理由に関し、「『ちょっと話そう』が延びて30分になっただけだ」と説明した。

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