対ロ条件交渉、越年の公算 日本商社の参画承認―サハリン2

東京, 9月2日, /AJMEDIA/

 ロシア極東の石油・天然ガス関連事業「サハリン2」をめぐり、ロシア政府は三井物産と三菱商事の商社2社に対し、事業を引き継いだ新会社への参画を承認した。液化天然ガス(LNG)の安定調達へ一歩前進したが、運営ルールを決める株主間協定は今後の交渉次第だ。越年が予想される交渉では、ロシア側から不利な条件を突き付けられる恐れもあり、これまで通り権益を維持できるか予断を許さない。
 三井物産に次いでロシア政府の承認を受けた三菱商事は1日、「さまざまなシナリオを想定しつつ、関係者との協議を通じて株主間協定書の条件やそれに伴うリスクを精査していく」とのコメントを発表した。出資比率は三井物産が12.5%、三菱商事は10%と旧会社と同じだ。
 一方、旧会社に約27%を出資する英石油大手シェルは事業から撤退する方針を表明。4日までに参画の意向を通知しなければ、同社の保有株は4カ月以内にロシア企業に売却される。商社2社と新会社の筆頭株主のロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムなどとの間で具体的な交渉が始まるのは、売却手続きが完了し新たな株主構成が決まった後となる。政府関係者は「交渉は越年が必至だろう。販売先や価格など重要な契約事項が変更されないよう注視したい」と話す。
 日本はサハリン2からLNGの年間輸入量の約8%に当たる600万トンを調達。旧会社とLNGの長期購入契約を結んでいた電力・ガス会社は新会社と手続きを進め、東京電力ホールディングスと中部電力が共同出資する発電会社JERA(東京)や九州電力、東京ガス、広島ガスが契約を結んだ。いずれも調達量や価格などの条件は旧会社との契約内容から変更はないもようだ。商社2社の参画承認に、関係者は「新会社との取引はリスクが高いので、これまで通り商社2社が間に入ってくれるのはありがたい」と歓迎している。

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