地元負担で鉄路復旧 「秘境路線」上下分離で―福島・只見線

東京, 8月7日, /AJMEDIA/

 赤字ローカル鉄道の在り方をめぐる見直し協議が各地で進むとみられる中、路線の存続に向けた地元自治体の財政負担も今後の選択肢となりそうだ。福島、新潟両県を結び、一部区間が豪雨被害で不通になっているJR只見線は、自治体が線路などの施設を保有し、JR東日本が運行する「上下分離方式」を復旧区間で導入。地元で協議を重ねて出した結論で、10月に全線再開する。
 会津若松(福島県会津若松市)―小出(新潟県魚沼市)間の135.2キロを結ぶ只見線は「秘境路線」として鉄道ファンの人気も高い。豪雪地帯で冬季は沿線の国道が閉鎖されるため、地域住民の貴重な足でもある。しかし2011年7月の豪雨で橋などが流され、会津川口(福島県金山町)―只見(同県只見町)間の27.6キロが不通に。今もバスで代行輸送が行われている。
 一方で只見線はJR東が公表した利用者の少ない赤字路線の一つ。1キロ当たりの1日平均利用者数(輸送密度)について不通区間に隣接する会津坂下(福島県会津坂下町)―会津川口間は179人、只見―小出間は101人(いずれも19年度)となっている。
 JR東は当初、会津川口―只見間のバス転換を提案したが、地元は反発。関係者で協議を進め、自治体の財政負担を条件に鉄道での復旧に合意した。
 県と沿線自治体など17市町村は線路などの復旧費約90億円の3分の2の負担を受け入れ、年間約3億円を見込む維持費用も自治体で持つ。
 財政負担は軽くないが、地元自治体は只見線が11年ぶりに全線再開すれば、観光面で経済効果があると期待する。福島県の久保克昌生活環境部長は「只見線は地域の宝。(路線存続を求める)地元の声が大きかった」と振り返る。
 国土交通省の有識者検討会は7月、関係者の間でバス転換を含む見直し協議に入る仕組みの創設を提言した。沿線の福島県金山町の押部源二郎町長は「不採算と切り捨てるのは簡単だが、そうではない」と指摘。「(ローカル鉄道が)地域の生活やなりわいを守っている。新たな公共交通の組み立てと支援の在り方をこれから協議していく必要があるのではないか」と話す。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts