原料高でも4割弱が値下げ要求 中小苦境、賃上げ停滞懸念―産別労組調査

東京, 2月24日, /AJMEDIA/

 金属産業の中小企業労働組合を中心とする産業別労組JAMがこのほど公表した企業取引実態調査(477社)によると、原材料価格などが高騰しているのに取引先から製品価格引き下げを要求された企業が4割弱に達した。下請けの苦境は鮮明で、価格転嫁が進まなければ日本の雇用の7割を占める中小企業で賃上げが停滞しかねない。
 調査は2022年11月下旬から約2カ月間実施した。価格引き下げ要求の有無について、36%が「あった」と回答。そのうち63%が一部で応じ、15%が「ほとんど応じている」と答えた。応じなかったのは22%にとどまった。要求された企業の61%は契約期間の途中だった。
 人件費の増加が価格転嫁の要素として取引先に十分受け入れられず、人件費圧縮で他のコスト上昇分を吸収している実態も明らかになった。価格転嫁した費用の割合を見ると、人件費などの労務費・固定費が「10%未満」だった企業は43%、「マイナス」と答えた企業も19%いた。
 JAMが今月9日、参院議員会館で開いた集会で、自動車部品メーカーの組合員は「取引先から半期に1度、コストダウン要請があり、売り上げの1%が失われている」と窮状を訴えた。JAMの安河内賢弘会長は「(大企業の)経営トップが価格転嫁(を進める)と言っても、コスト低減が成果となる現場には届いていない」と指摘。罰則規定などを設けた法整備の必要性も挙げつつ「しっかり価格転嫁を実現してほしい」と強調した。

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