卵価格、9年ぶり高水準 餌代高騰、鳥インフル響く

東京, 12月11日, /AJMEDIA/

 「物価の優等生」とされる卵の卸売価格が上昇している。JA全農たまごによると、9日時点で1キロ当たり275円と昨年12月の平均と比べ31%上昇、約9年ぶりの高値となっている。鶏の餌代高騰やコロナ禍からの需要回復で需給が引き締まる中、「急拡大する鳥インフルエンザの影響も出ている」(関係者)という。農林水産省は動向を注視していく考えだ。
 鶏卵価格は、需要が低迷する夏に低下し、クリスマスなどで消費が伸びる年末に向け上昇する傾向にある。今年は餌代の高騰で生産量が減少していたところにコロナ禍で落ち込んだ外食需要が回復し、価格が上昇した。
 これに、猛威を振るう鳥インフルが追い打ちをかけた格好。今シーズン、採卵鶏の殺処分数は9日時点で380万羽を超え、卵の出荷量や価格に一時影響した。もっとも、殺処分数は全国の採卵鶏約1億3700万羽の2.7%程度にとどまる。供給量は回復しつつあり、野村哲郎農水相は「最近の上昇は必ずしも鳥インフルの影響とは考えていない」との見方を示す。
 スーパーでは12月に入り、店頭価格を1パック当たり10~20円上げている店が多いとみられる。食品スーパー「アキダイ」(東京都練馬区)は230円台に値上げ。毎週日曜日に88円とする特売は続け、開店前には長蛇の列もできるが、秋葉弘道社長は「売れるほど損が出る。他の商品の売り上げが伸びても補い切れない」と頭を抱える。
 鶏卵年間生産量の1割に相当する約25万トンを使うキユーピーは、10月に2021年以降で3度目となるマヨネーズの値上げを実施したばかり。しかし直近の鶏卵価格の上昇は反映しておらず、「今後は相場状況を見ながら判断する」(広報)との考えだ。メニューで生卵を提供する吉野家ホールディングスは「年間契約なので今のところ影響はないが、値上がりが続くことへの懸念はある」と話す。
 例年通りであれば、「需要が落ち着く年明けには価格が低下する見込み」(野村農水相)という。ただ、鳥インフルはさらに広がる恐れもある。価格上昇が続けば21年の高騰時と同様、より長く卵を産んでもらうため農家に飼育期間延長を求めることも選択肢となりそうだ。

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