東京, 2月20日, /AJMEDIA/
ロシアのウクライナ侵攻開始から、間もなく1年を迎える。先進7カ国(G7)を中心に対ロ制裁を強めるが、戦争終結の兆しはうかがえない。世界的なインフレ加速で景気が減速し、国際社会も分断したまま20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が23~25日にインド・ベンガルールで開かれる。国際通貨研究所の渡辺博史理事長(元財務省財務官)と国際政治に詳しい国際大の田所昌幸特任教授に展望を聞いた。
◇制裁に限界、終戦困難=渡辺博史国際通貨研究所理事長
―ウクライナ侵攻が世界経済に与えた影響は。
コロナ禍の悪影響を増幅した。特に欧州のインフレは、ウクライナ危機に起因するエネルギー価格の高騰が招いたもので、経済の回復を遅らせている。アフリカの食料危機も深刻だ。
―ロシアに対する経済制裁の効果は。
ほとんどのロシア国民にとってスターバックスがあろうとなかろうと関係がない話で、エネルギーと食料は余っており、そういう面での問題はない。2、3年たてば、(ハイテク技術の)輸出規制が効いて、産業の発展にブレーキがかかり、高性能な武器の製造も難しくなる。ただ、休戦状態になるにも時間がかかるし、終戦はなかなかできないだろう。
―銀行決済網からの排除、資産凍結なども実施された。
制裁のシンボリックな意味はあったが、決済網に入っていない金融機関も多く、ロシアはほとんど困っていないはずだ。
―G20の議長国がインドに交代した。
米国の金融引き締めによって新興国や途上国の財政が苦しくなっているので、インドが対応を求めるかもしれない。ただ、先進国も金がない上に、(貸し手である)中国の態度次第だ。
―日本はG7議長国に。
新興国や途上国で債務危機が起きたときの対応について、G7間で意思決定できたらいい。G20諸国に提言したり、協力を働き掛けたりできるはずだ。