半導体巻き返しへ始動 北海道に新工場、人材確保課題―ラピダス

東京, 3 月1 日, /AJMEDIA/

日本が出遅れていた次世代半導体の分野で、反転攻勢を目指す官民の取り組みが動きだした。新会社ラピダスは2027年の量産開始に向け、北海道千歳市に工場を建設する方針を表明した。もっとも、台湾や韓国と比べ「10年以上」とされる遅れを巻き返すのは容易ではない。まずは、資金と人材の確保が課題となる。
日本はかつて半導体で世界シェアの半分を占めたが、国際競争に敗れ、現状は1割程度にとどまる。韓国や台湾では回路線幅3ナノメートル(ナノは10億分の1)と微細な半導体が量産段階に入っているが、日本国内は40ナノで止まっており、技術面の遅れも大きい。米中対立が激化する中、先端半導体の確保は経済安全保障上も重要な意味を持つ。
 産業の再興には莫大(ばくだい)な資金と人材が必要だ。政府は半導体関連費用として22年度第2次補正予算に約1兆3000億円を計上。東北や中国、九州の各地方では国立大学や半導体メーカーが参加し、研究開発や人材育成での産学連携も進む。
 北海道の鈴木直道知事は2月16日、東京のラピダス本社を訪れ、道内に理工系の大学院が8校あることなどから「(人材面で)ラピダスのプロジェクトに貢献できる」と強調した。
 国内外から優秀な人材を獲得するには、高い給与水準も欠かせない。熊本県に進出した半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、23年春入社の大卒(技術系)初任給を28万円に設定。20万円強とされる同県内の平均初任給(同)を大きく上回る。半導体の人材獲得競争は激化する見込みで、北海道でも海外を意識した給与設定が求められそうだ。

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