円安効果吹き飛ぶ 資材高騰、部品不足重しに―トヨタの4~6月期

東京, 8月5日, /AJMEDIA/

トヨタ自動車の2022年4~6月期連結決算は、鋼材などの資材高騰や部品不足による減産が響き、円安のプラス効果があっさりと吹き飛んだ。23年3月期(通期)の業績予想は一部上方修正したが、資材高などの懸念材料は山積。本業のもうけを示す営業利益は前期比2割近い大幅な減益予想を変えず、慎重姿勢を崩していない。
 トヨタは車の8割を海外で販売しており、為替変動に収益が大きく左右される。今回の決算では為替レートの実績が1ドル=130円と前年同期比で20円も円安に振れ、営業利益を1950億円押し上げた。
 だが、資材高騰(3150億円)や減産による販売減(2450億円)などのマイナス要因がこれを上回り、営業利益は前年同期比42.0%減だった。
 生産が滞ったのは半導体不足や中国・上海のロックダウン(都市封鎖)による部品不足などが主因だ。同社は年初、4~6月期に前年同期比2割増の大増産を行うことを想定していたが、部品不足や仕入れ先、生産現場の疲弊に配慮し、4%増の計画に修正。しかし、これらの影響はさらに深刻で、実際は世界生産が6.3%減、国内に限れば22.2%減と落ち込んだ。
 23年3月期については売上高と純利益の予想をそれぞれ上方修正したが、営業利益予想は修正を見送った。通期での円安効果は8650億円(従来予想1950億円)に膨らむものの、資材高騰などマイナス要因が多いためだ。
 生産に関しては「半導体などの確保にめどが付いてきた」(担当者)として年度後半の回復を見込むが、計画の下方修正を繰り返してきただけに、不安はぬぐえない。
 資源高などに苦しむ仕入れ先の支援策も1000億円の減益要因だ。トヨタは下半期の部品値下げ要請を見送るほか、電気代高騰分などを肩代わりする措置も検討中。「サプライチェーンを守る」(熊倉和生調達本部長)ためだが、トヨタの負担は増える。

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