休憩場所から観光地に変貌 地域支える拠点にも―「道の駅」30年

東京, 4月30日, /AJMEDIA/

「道の駅」を建設省(現国土交通省)が初登録してから4月で30年となった。トイレと駐車場があればよく、当初は休憩場所として始まったが、次第に観光地として定着。近年は地元住民の生活や防災の拠点となる施設も多い。一方、利用客の減少や設備投資で赤字に陥る施設も。安定運営と地域活性化の両立に向け、各地で工夫が続く。

 道の駅は1993年4月22日に初めて103カ所が登録され、今年2月時点で1204カ所に増えた。全国道の駅連絡会によれば、全施設の年間売上額は計約2500億円。温泉や遊園地なども併設し、一日過ごせる道の駅も登場している。
 一方、他の道の駅や別の商業施設との競争に疲弊するケースも。客足が伸び悩み、市町村からの交付金で経営を維持している施設も珍しくない。
 その中で、岡山県矢掛町に2021年オープンした「道の駅山陽道やかげ宿」が話題を呼んでいる。町中心部にあるこの施設は、駐車場とトイレ、簡単な案内板のみだ。
 狙いは、隣接する歴史的な町並みで買い物や飲食を楽しんでもらうこと。道の駅を地域全体の玄関にしたことで、人の流れが商店街に届くようになった。町担当者は「道の駅が新店舗のオープンにもつながった」と手応えを語る。
 この30年で災害が頻発したことを受け、防災機能を充実させる施設も多い。和歌山県すさみ町は15年、南海トラフ地震に備え、津波浸水が想定されない地域に備蓄倉庫や避難所などを備えた道の駅を設置。温泉やレストランもあり、平時のにぎわいづくりと両立させる。
 国交省は今後、こうした地域の拠点としての機能を高めたい考えだ。観光だけでなく、地元住民も立ち寄れる買い物の場にしたり、子育て支援施設を運営したりするケースも想定。国交省は必要な施設の整備を補助するなど支援する。
 一般道のドライバーに休んでほしいという素朴な動機で始まった道の駅だが、さまざまな進化を遂げ、真に地域のためになっているかが問われている。道の駅の制度設計に関わった元国交省技監の大石久和氏は「休憩を通じて地域の個性を発信する道の駅の狙いを思い出してほしい」と全国の関係者に呼び掛けた。

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