与党、じわり原発シフト 足並みそろわぬ野党、論戦低調

東京, 7月1日, /AJMEDIA/

 ロシアによるウクライナ侵攻で世界のエネルギー情勢が激変する中、与党は原発の再稼働加速にかじを切り始めた。歴史的な資源高でガソリン価格や電気代が急上昇。異例の猛暑も重なり、コスト増や電力不足を懸念する経済界には、再稼働を急ぐよう求める声が広がる。野党は原発政策をめぐって意見が分かれ、論戦が深まる気配はうかがえない。
 ◇「依存度低減」削除
 政府が6月に閣議決定した経済財政運営の基本指針(骨太の方針)は、原発について昨年盛り込んだ「可能な限り依存度を低減する」との文言を削除。東京電力福島第1原発事故の後、世論の反発を恐れて明言を避けてきた原発活用の推進に一歩踏み込んだ。
 今回の参院選公約でも、自民党は「安全が確認された原子力の最大限の活用」を訴える。公明党はもともと掲げていた「原発ゼロ」から、「将来的に原子力発電に依存しない社会を目指す」へトーンを弱め、再稼働について「理解と協力を得て取り組む」と明記した。
 ◇容認論広がる
 野党はこうした与党の姿勢に効果的な批判を繰り出せないでいる。原発推進に否定的なのは立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組。立憲民主は公約に「原発に依存しない社会を実現する」と明記したが、党の綱領に掲げた「原発ゼロ社会を一日も早く実現する」との表現からは後退した印象だ。「即時ゼロ」「即時禁止」を訴えるのは共産とれいわ。社民は「2030年にゼロ」を主張する。
 一方、国民民主党は公約に「法令に基づく安全基準を満たした原発は稼働させる」と明記した。日本維新の会も「安全性が確認できた原発は可能な限り速やかに再稼働する」と盛り込んだ。NHK党も「再稼働の検討を政府に積極的に求めていく」と主張し、野党にも容認論が広がる。
 ◇「節電ポイント」やり玉
 野党が攻勢を強めているのが、政府が打ち上げた「節電ポイント」拡充策だ。大手電力会社などの節電プログラムに参加した家庭に対し、政府が2000円相当を付与した上で、節電量に応じたポイントも上乗せする案を検討している。
 ただ、この案が浮上した当初からインターネット上などでは効果を疑問視する声が上がった。野党も、立憲民主の西村智奈美幹事長が「選挙目当てのばらまき」と非難し、国民民主の玉木雄一郎代表は「ポイント還元より現金還元だ」と主張する。維新の音喜多駿政調会長は「生活が苦しいからポイントをもらおうとエアコンを消して、人の命が失われたらどうするのか」と反対している。

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