ファーストリテ、成長へ人材確保 賃上げ、大手に波及へ

東京, 1月12日, /AJMEDIA/

 カジュアル衣料の「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングが3月、国内正社員ら約8400人の賃金引き上げに踏み切る。上げ幅は年収で最大4割。賃金を底上げしないと人材確保で劣勢に立たされ、グローバル企業として持続的な成長が困難になるとの危機感がある。物価高が社員の生活に与える影響も考慮した。同社の決断は同じ環境にある大手企業に影響を与えそうだ。
 ファーストリテは、世界でグループ従業員の賃上げを進めている。国内では2022年9月、パートやアルバイトの時給を平均2割上げた。地域正社員らの賃上げも実施する方針で、最終的には国内全体の約5万6000人まで広がる見通しだ。
 今回の報酬制度改定では、国内限定の役職手当などが廃止される。海外とほぼ同じ制度になり、国境をまたいだ人事異動が円滑になる利点がある。
 東京商工リサーチによると、上場企業3213社の21年度平均年収は605万円。ファーストリテは959万円と350万円ほど上回る。ただ、同社は20以上の国・地域に進出している世界3位のアパレル大手で、売上高の半分程度を海外事業が占める。人材獲得でライバルとなる海外のコンサルタント会社やIT大手に比べ報酬が見劣りするため、同社は危機感を強めていた。
 国内での賃上げは、食品価格や電気代の上昇で負担が増す家計を支える効果も期待される。松野博一官房長官は11日の記者会見で、「企業の積極的な賃上げ方針を前向きに評価したい」と歓迎する意向を示した。

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