ガソリン、補助金頼み鮮明 「円安対策」、出口不透明

東京, 11月10日, /AJMEDIA/

 ガソリン価格を巡り、政府の補助金依存が鮮明になっている。指標となる海外原油市況は落ち着きを見せる半面、円安進行が輸入価格を押し上げており、補助金がなければレギュラーガソリン1リットル当たりの店頭小売価格は200円を超える状態が続く。事実上の「円安対策」となっており、価格抑制策の出口は不透明だ。
 経済産業省が9日発表したレギュラーガソリンの店頭小売価格(7日時点)は、全国平均で前週比1円安の168円10銭と2週連続で下落した。ただ、政府が石油元売り各社に支給する補助金がなければ205円70銭となっていた。
 ロシアのウクライナ侵攻を受け、原油価格の国際的な指標となっている米国産標準油種WTIは3月、一時1バレル=130ドルを突破した。その後、米欧がインフレ抑制へ利上げを進め、世界的な景気後退懸念による需要減退観測が広がり、最近は90ドル前後と侵攻直前と同水準で推移している。石油連盟の木藤俊一会長(出光興産社長)は「85~100ドルのレンジでしばらく推移する」とみる。
 ただ、日本では円安進行で原油市況沈静化の恩恵を受けにくい。経産省は、ガソリン価格は補助金がなければ8月下旬以降、200円超で推移していたとみる。2月下旬に1ドル=115円程度だった円相場は145円台で推移。石油情報センターは「補助金のうち4~5割分は為替要因を抑えるために使われている」と指摘する。
 8日に閣議決定した2022年度第2次補正予算案では、ガソリン補助金延長に3兆272億円を計上した。政府は来年1月以降、補助上限を徐々に縮小しつつ9月まで続ける。ただ、円安基調が続けば補助縮小は価格高騰を招く恐れがあり、出口戦略は一段と難しくなっている。

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