エコカー減税、業界に配慮 「走行税」に慎重論―税制改正

東京, 12月17日, /AJMEDIA/

 自動車関連税制では、車検時の重量税の「エコカー減税」について、2023年4月末までの期限を3年間延長する。適用基準は24年1月から段階的に引き上げるが、新車販売などへの影響を心配する自動車業界に配慮し、23年末までは現行のまま据え置く。走行距離に応じて課税する「走行税」については慎重論が根強く、検討課題として明記することを見送った。
 エコカー減税は燃費性能に応じて重量税の負担を軽減する制度。現行は30年度燃費基準を60%達成することが減税を受けるための最低ラインだが、これを24年1月に70%、25年5月は80%まで引き上げる。ただし、25年5月からの引き上げに伴い減税対象から外れる車も1年間に限り、税負担を軽減する激変緩和措置を講じる。
 政府は脱炭素社会の実現に向け、35年までに新車販売の100%を電動車とする目標を掲げる。自民党税制調査会幹部は当初、電気自動車(EV)など環境により優しい車を普及させるため、エコカー減税の対象車を厳しく絞り込む考えを示していた。しかし、半導体不足に伴い納車が遅れる中、減税が受けられない購入者が出る恐れがあるとして、経済産業省や自動車業界団体が激しく抵抗。最終的に、新車に占める減税対象車の割合は今と同じ7割を実質維持できることになり、業界関係者は「うまくまとまった」と話す。
 購入時に課す自動車税などの「環境性能割」は、軽減対象の基準を23年末まで据え置き、その後段階的に厳しく見直す。環境性能に応じて減税措置が受けられる「グリーン化特例」は23年4月から現行制度を3年間延長する。
 財務省が中長期の課題として掲げた走行距離に応じて課税する仕組みについては、与党内で「時期尚早だ」と慎重な意見が相次ぎ、議論が深まらなかった。将来的にEVの普及が進むことに伴い減少するガソリン税収を補うための案だったが、自動車ユーザーが多い地方の議員らが「負担が大きくなる」と反発。EVを念頭に総務省が提案した、モーターの出力に応じた課税も具体的な検討は行われず、自動車関連税制全体の見直しの検討は26年度以降に行うことにした。

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