「2%物価目標」見直し論 日銀との共同声明、総裁交代にらみ―政府

東京, 12月19日, /AJMEDIA/

2%の物価目標実現を明記した政府と日銀による共同声明を巡り、政府内で目標や達成期間に幅を持たせるなど見直し論が浮上している。2013年1月に当時の安倍晋三政権下で公表した共同声明は、黒田東彦総裁による「異次元の金融緩和」の根拠。来年4月の黒田総裁の任期切れが近づく中、金融政策の枠組みや目標の在り方を巡る議論が活発化する可能性がある。
 共同声明は、発足間もない安倍政権と白川方明総裁時代の日銀が交わした。デフレからの早期脱却と物価安定下での持続的な経済成長の実現に向けた政府・日銀の政策連携を強調。「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%」とし、日銀が「できるだけ早期に実現する」と明記した。
 共同声明から10年という節目で見直し論が浮上する背景には、経済、物価情勢の変化もある。今年10月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は3.6%上昇と40年8カ月ぶりの伸び率となり、2%を大きく上回る。物価の安定的な上昇へ鍵を握る賃金の動向も、23年春闘では過去10年で最も高い伸びとなる可能性がある。
 黒田総裁は国会などで「金融政策の枠組みについて具体的に論じるのは時期尚早だ」と繰り返し発言、大規模緩和策の見直しに慎重な立場。ある政府関係者は「共同声明の見直しの是非は常に検討課題だが、現時点で何か方向性が固まっているわけではない」と話す。
 ただ政府・日銀内で、次期総裁の任期中には大規模緩和の修正が重要な課題になるとの認識は共有されている。一方で、世界的な景気減速の兆しがあるなど経済・物価情勢は極めて不透明で、金融政策の枠組みについての拙速な修正には慎重意見も強い。次期総裁を見据えて見直し論議が進むかどうかはなお流動的だ。

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