「航空宇宙自衛隊」誕生へ 名称変更、戸惑う隊員も―人材確保に効果?・防衛省

東京, 12月26日, /AJMEDIA/

 宇宙空間の防衛上の重要性が増す中、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改称する方針が、閣議決定された安全保障関連3文書に明記された。陸海空の各自衛隊で名前が変わるのは初めて。拡大する任務に「名は体を表す」との趣旨で打ち出された改称だが、内部からは戸惑いの声も漏れる。
 空自は人工衛星に衝突する危険性がある宇宙ゴミをレーダーで監視する「宇宙作戦隊」を2020年、府中基地(東京)に設置。その後、上部組織として「宇宙作戦群」も置いた。今年度中には衛星への電波妨害を監視する部隊が防府北基地(山口)に新設される。
 文書では宇宙空間を監視する宇宙領域把握(SDA)衛星を26年度までに打ち上げると記載。低高度を周回する多数の小型衛星で地上の監視や弾道ミサイル追尾を担う「衛星コンステレーション」なども盛り込まれた。
 名称の変更時期は未定。ただ、おおむね5年以内の計画を定める防衛力整備計画に明記されたことから、SDA衛星の運用開始などで任務が本格化する頃が想定される。
 米国は陸海空軍と別に「宇宙軍」を設置し、ロシアやフランスにも「航空宇宙軍」があるが、戸惑いを隠さない空自隊員もいる。「長い名称に違和感がある」「宙(そら)自は格好悪い」との声や、「領土・領海・領空と違い、守る対象が不明確」との意見も聞かれた。
 一方で「未来的で気分一新だ」と前向きに受け止めたり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との連携強化などで「宇宙を夢見る若者の任官があるかも」と人材確保への効果を期待したりする声もあった。
 空自トップの井筒俊司航空幕僚長は「宇宙作戦は航空作戦と並ぶ重要分野になる。『名は体を表す』」と強調。「最初は違和感があるかもしれないが、そのうち慣れて親しみを持ってもらえるだろう」と話した。

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