「ぽつん看板」おつかれさま イケア前橋の内覧会で脚光

東京, 01月12日, /AJMEDIA/

スウェーデン家具大手イケアグループの日本法人、イケア・ジャパンが11日に開いたイケア前橋(群馬県前橋市)の報道向け内覧会では2013年の出店計画発表以降、建設予定地を温め続けてきた「ぽつん看板」が脚光を浴びる一幕があった。

 野山和美店長による店舗コンセプトの説明の冒頭、草むらにたたずむ小さな看板の写真がモニターにおもむろに映し出され、会場がざわついた。野山店長が報道陣に静かに問いかけた。「皆さん、こちらの写真はご存じですか」。都内から駆けつけた報道陣やインフルエンサーも多く、看板にとっては「アウェイ」だが、群馬県民にとっては忘れたくても忘れられない光景だ。

 会場のざわめきが落ち着くのを待って、フィンランドや米国での勤務経験もある〝敏腕店長〟は続けた。「土地を購入してから約10年、この看板が、この土地を守ってくれました。かなり長い時間お待たせし、『本当にイケアは来るのか』と近隣の方々や地元メディアに気に掛けていただいた看板でもあります。この10年の軌跡や思いが詰まった看板なので、なかなか捨てられません。実はまだ残っていて、あちらになります」。

 合図とともに看板が会場に運び込まれると、なぜか歓声が上がり、シャッターが鳴り響いた。まるで有名人の引退会見だ。「10年間ここに立っておりました。今後ずっととっておこうと思っています。満を持してのオープンであると感じさせてくれる看板です」。絶妙なたたずまいで地元民をハラハラさせてきた看板は、いつの間にかイケア・ジャパンにとっても特別な存在になっていたらしい。

 会見終了後には看板とペトラ・ファーレ社長、野山店長の「スリーショット」撮影会が自然発生的に始まった。「こちらを向いてください」「次はこちらをお願いします」と目線を求める記者たちの声はなかなか止まなかった。

 報道陣がいなくなった後、ぽつん看板と改めてじっくり向き合ってみた。群馬のからっ風と地元民の疑わしげな視線に立ち向かい、白くひび割れたその姿は、歴戦の勇士を思わせた。高さ1メートル、幅2メートルほどか。草むらに寂しく立っていたころよりも、ずっとずっと大きく、立派に見えた。イケア前橋は18日にオープンする。

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