高市氏、増税方針に反旗 岸田首相の求心力低下も

東京, 12月14日, /AJMEDIA/

 防衛力の抜本的強化に向け、岸田文雄首相が打ち出した1兆円規模の増税方針に、高市早苗経済安全保障担当相が公然と反旗を翻し始めた。ツイッターで批判したのに続き、13日には自身の進退を懸けて反対を貫く考えを表明。「ポスト岸田」をにらんだ存在感発揮が狙いとの見方が自民党内にあり、首相に更迭を促す声も出ている。
 「間違ったことは言っていない。罷免されるのであれば仕方がない」。高市氏は13日の閣議後の記者会見でこう明言。「辞表を出してから言え」との声が首相周辺から届いていると言及した上で、自説を曲げる考えのないことを強調した。
 高市氏はこれに先立つ10日、増税方針について「首相の真意が理解できない」とツイッターに投稿。11日には、増税の前提となる防衛力強化の内容を知らされていないと不満を書き込んだ。
 こうした中、12日夜には臨時国会閉幕を受けた夕食会が首相公邸で開かれた。高市氏は首相に10分ほど向き合い、増税批判を直接伝達。首相は「誠実に率直に国民に負担の必要を伝えるべきだ」と理解を求めた。高市氏が首相に会う時間をなかなか取ってもらえないと訴えると、首相は「少し工夫して時間を取るようにする」と応じたという。
 高市氏は生前の安倍晋三元首相と近く、昨年9月の党総裁選では安倍氏の支援を受けて首相と争った経緯がある。関係者は「増税に慎重な安倍路線の継承をアピールし、次期総裁選に向けて存在感を示すのが狙いだ」との見立てを示す。高市氏は党内の増税反対派の後押しも期待しているとみられ、「今は勝負をかける時期ではない」と自重を促す周辺の警告に耳を貸さなかった。
 首相は今のところ、事を穏便に収めたい考えのようだ。首相周辺は「最後に足並みがそろえば閣内不一致ではない」と、高市氏の今の言動は問題視しない構え。ただ、高市氏の思惑含みの動きに、自民党内は冷ややかだ。党幹部の一人は「不問に付せば増税慎重派を抑えられなくなる」と懸念。閣僚経験者は「首相はここまで言われた以上、辞めさせなければ駄目だ」と言い切った。
 増税を巡る政権の内輪もめに、野党も批判を強める。立憲民主党の泉健太代表は党会合で「政権の体をなしていない。混乱の極みだ」とあげつらった。10日に閉幕した臨時国会では閣僚3人が辞任に追い込まれ、内閣支持率は低迷が続く。内部対立が長引けば、首相の求心力低下に拍車がかかる可能性もある。

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