自民・立民、維新巡り綱引き 「てんびん」戦略に双方不満も

東京, 1月19日, /AJMEDIA/

 23日召集の通常国会を前に、自民党と立憲民主党が日本維新の会を引き寄せようと綱引きを繰り広げている。自民党が17日、憲法改正など4分野の協力を維新と申し合わせると、立民も18日、維新との共闘継続で合意。維新は両党をてんびんにかけつつ政策実現への協力を引き出す戦略で、双方から不満も漏れる。
 自民党の茂木敏充幹事長は18日午後、大阪市を訪れ、維新共同代表の吉村洋文大阪府知事、前代表の松井一郎市長と2025年の大阪・関西万博の会場を視察。この後、記者団に「立民の方が(自民党より)国家観が問われる問題で(維新と)隔たりがある」と強調した。茂木氏は17日の馬場伸幸代表との会談で、改憲に加え安全保障・エネルギー政策での協力を確認したばかりだ。
 18日夜には泉大津市の焼き鳥店で吉村氏らと懇談し、維新が重視する「身を切る改革」について「しっかりやっていく」と伝えた。
 松井氏らは菅義偉前首相に近く、安倍・菅政権時代、維新は自民党と「蜜月」関係にあった。しかし、21年秋に岸田文雄首相が就任すると政権批判を強め、昨秋の臨時国会では立民と初めて共闘した。茂木氏が維新に再接近を図るのは「スクラムを組む立民と維新に押され続けた臨時国会の轍(てつ)を踏むのを避ける」(関係者)ためだ。
 立民執行部は「維新との連携に不安はない」(幹部)と表向き冷静だ。臨時国会では一部の政策での共闘合意にとどまったが、18日の党首会談では「協議体を設け、個別政策で連携を目指す」と前国会より包括的な合意を交わした。泉健太代表は記者団に「大きな戦線にしていきたい」と語った。
 立民執行部は共闘の実績を積み上げて将来の選挙協力につなげたいのが本音だが、党内では「10年来の不信感は消えない」(中堅)と疑心暗鬼が募る。立民の閣僚経験者の一人は「うまくいくはずがない」と周囲に吐き捨てた。
 維新は、自民党と立民に「二股」をかけ、党の政策実現に向けて双方から譲歩を引き出すことを狙う。馬場氏は記者団に「わが党は単純な図式で考えない。国家・国民のためなら、与党とも野党とも協力し合っていく」と語った。
 もっとも自民、立民両党には「維新の発言力だけが高まる構図だ」(立民中堅)と警戒感も漂う。自民党の閣僚経験者は「維新はどちらにつくのかはっきりさせてほしい」といら立ちを隠さなかった。

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