自民、野党共闘にくさび 維新軟化、立民苦慮―救済新法案

東京, 12月6日, /AJMEDIA/

 自民党が5日提示した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を踏まえた被害者救済新法案の修正案には、立憲民主党と日本維新の会の共闘にくさびを打ち込む狙いがある。実際、維新は法案賛成に傾いており、法案は不十分との立場を崩していない立民は対応に苦慮しそうだ。
 「ぎりぎりだ」。自民党の茂木敏充幹事長は5日の立民、維新両党との幹事長会談で、「配慮義務」に勧告・公表を設けた修正案は、野党に最大限譲歩した結果だとアピール。維新の藤田文武幹事長は「苦心してもらい、一歩前に進んでいる。率直に評価したい」と記者団に語った。
 一方、立民の岡田克也幹事長は記者団に「60点が合格点だとすると、50点ぐらい。あと10点だ」と述べ、「配慮義務」を「禁止規定」に格上げする修正は不可欠だと強調した。
 新法案を巡る政党間協議を通じ、自民党が狙ってきたのは、立民、維新の分断だ。もともと与党寄りだった維新が立民と「国会共闘」で合意したことで、今国会は野党ペースが強まった。自民党関係者は「維新が賛成、立民が反対する形をつくり、共闘を分断するのが狙いだ」と解説する。
 茂木氏は2日夜、維新の馬場伸幸代表らと東京都内の日本料理店で会食。週末に維新幹部と連絡を取り合い、修正案の内容を4日には伝えた。勧告・公表を盛り込んだ修正案は「維新だけがのめるライン」(立民関係者)との見方もある。
 馬場氏は5日、秋田市での記者会見で「100点満点でないからといつまでも協力しないでいては、被害者救済法を作れない」と語った。来年の統一地方選に向け、立民との違いをアピールしたい思惑ものぞく。
 これに対し、立民は焦りを強める。全国霊感商法対策弁護士連絡会などは配慮義務の禁止規定化を求めており、「安易に折れることはできない」(立民中堅)という事情がある。しかし、維新と賛否が割れれば、来年の通常国会での共闘が不透明になり、将来の選挙協力も見据えた戦略にほころびが生じかねない。
 岡田氏は、記者団から維新と足並みがそろっているかを問われ、「歩調を互いに合わせられていると思う。もちろん最終的には分からない」と述べ、対応が割れる可能性を認めざるを得なかった。立民は賛成に回る環境を整えるため、6日からの国会審議で配慮義務の禁止規定化を粘り強く要求する方針だ。

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