自・公、目立つあつれき 26日で政権復帰10年―野党は多弱化、展望開けず

東京, 12月25日, /AJMEDIA/

 自民、公明両党の政権復帰から26日で10年の節目を迎える。両党は安全保障政策などで基本姿勢の違いを抱えながらも連立を維持してきたが、最近はあつれきが目立つ。一方、野党は多弱化が進み、政権交代への展望は見通せていない。
 「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題、相次ぐ閣僚の辞任があったが、他の国と比べるとまだ政治は安定している」。自民党の茂木敏充幹事長は24日、那覇市での講演でこう強調。公明党の北側一雄副代表は22日の記者会見で「自公連立は政治の安定を高める」と語った。
 自公両党が旧民主党などに政権を奪われたのは連立合意から10年後の2009年9月。野党時代には選挙協力を一時白紙に戻したこともあったが、旧民主党政権に陰りが見え始めると、両党は協力を復活させた。12年12月には政権を奪い返し、自公連立による第2次安倍政権を樹立した。
 故安倍晋三元首相は憲政史上最長の7年8カ月の任期中、経済政策「アベノミクス」を進めつつ、保守色の強い政策を推進。「平和の党」を掲げる公明党には、集団的自衛権の行使を容認した安全保障関連法制定や「共謀罪」創設などでブレーキ役を期待する声があったが、自民党と妥協するケースが多くなっていった。
 自民党が公明党の支持母体・創価学会の集票力に依存度を強める一方、公明党は政策決定に深く関わる与党のうまみから逃れられなくなったとの指摘がある。
 自公関係が安定していたのは人的要因が大きい。ただ、公明党・創価学会とパイプを保つ自民党の菅義偉前首相や二階俊博元幹事長は要職を離れた。大島理森前衆院議長、大島氏とコンビを組んだ公明党の漆原良夫元国対委員長らは政界を引退した。
 岸田政権では自公のきしみが目立つ。安保関連3文書は混乱なくまとまったが、中国の軍事的台頭などの「脅威」に助けられた面が強い。両党のパイプは細っており、今年1月には公明党が参院選協力の見直しを自民党に通告し、関係は「破綻寸前」(創価学会幹部)まで悪化した。
 両党は年明けから衆院小選挙区の「10増10減」に伴う候補者調整を始める。公明党は計4選挙区を新たに譲るよう求めており、自民党からは反発が漏れる。公明党は自民党内で浮上している国民民主党の連立参加論に不快感を募らせており、自公連立は試練の時を迎える。
 ◇同床異夢
 この10年間、下野した旧民主党は離合集散を繰り返し、野党は多弱化が進んだ。立憲民主党と日本維新の会は先の臨時国会で初の「国会共闘」で合意。来年の通常国会でも共闘を継続したい考えだが、立民が視野に入れる将来の選挙協力に維新は否定的で、同床異夢の印象は否めない。
 立民の泉健太代表は23日の記者会見で「野党が力を合わせ、与党のおかしいところを是正していく」と強調。これに対し、維新の馬場伸幸代表は22日、「われわれは是々非々。次の衆院選で野党第1党を預かる」と立民に取って代わる決意を記者団に示し、温度差が浮き彫りとなった。

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