習政権、経済強化へ対日安定 米連携「封じ込め」は警戒

東京, 4月3日, /AJMEDIA/

【北京時事】日本の外相による約3年3カ月ぶりの訪中が実現し、両国関係の安定に向けた動きが本格化した。中国の習近平指導部は、台湾海峡やハイテク分野を巡る米国との対立が長期化する中、対日関係のさらなる悪化を避け、経済的な結び付きを強化したい考えだ。一方、中国を排除する形での日米の連携強化には警戒を強めており、海洋など対立する分野での懸案解決は見通せない。
中国の秦剛国務委員兼外相は2日、林芳正外相との会談冒頭「両国の指導者の重要な共通認識をガイドラインとして、交流と意思疎通を強めたい」と呼び掛けた。中国の李強首相も林氏との面会で「中日は重要な経済貿易パートナーとして、より高いレベルの相互利益とウィンウィンを実現すべきだ」と訴えた。
 日中両国は2月以降、外務当局間や経済分野の対話を相次いで再開した。共産党機関紙系の環球時報英語版は、一連の協議を「中日関係安定化の明るい兆しだ」と評価。3期目政権を本格始動させた習近平国家主席にとって「ゼロコロナ」政策の影響で落ち込んだ経済の立て直しは急務で、日本から一層の投資を呼び込みたいところだ。
 ただ、米国などと連携した中国「封じ込め」の動きには警戒感をあらわにする。秦氏は「矛盾と意見の相違に直面し、徒党を組んで大声で圧力をかけることは問題解決の役に立たず、隔たりを深めるだけだ」と強調。米国が先端技術分野で進める中国との「デカップリング(分断)」や、日本が発表した半導体製造装置の輸出管理厳格化を念頭に「封鎖は中国の自立自強の決意をさらに奮い立たせるだけだ」と述べ、けん制した。
 また、習指導部は対日関係の立て直しを進めつつも、海洋権益など安全保障分野では一歩も譲らない構えだ。沖縄県の尖閣諸島周辺では中国船舶の領海侵入が相次いでおり、最近では76ミリ砲とみられる武器の搭載も確認されている。
 中国当局に拘束された日本人男性を巡る対応も不透明だ。秦氏は男性について「スパイ活動に従事していた」と主張し「法に基づき処置する」と述べたが、具体的な状況は不明のまま。2014年の「反スパイ法」制定以降、中国で拘束が確認された邦人は17人に上る。「国家安全」を重視する習指導部は近く、同法改正でスパイ行為の定義をより拡大する見通しで、監視がさらに強化されそうだ。

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