経済再生、問われる成果 所信表明演説

東京, 10月4日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相は所信表明演説で、物価高や賃上げへの対応、インバウンド(訪日客)消費による経済振興に全力を挙げる考えを強調した。新型コロナウイルスの新規感染が減少傾向となる中、「経済再生」で効果的な対策を打ち出すことで、苦境に陥る政権を再浮揚させたい思惑がにじむ。
 首相はまず、燃料高騰や円安による電力料金上昇に対し「前例のない」対策を打ち出すと表明。既に激変緩和措置を講じているガソリンに続き、来春想定される2~3割の電気代値上げから、国民生活や企業活動を守る狙いがある。
 激変緩和措置が「守り」なら、「攻めの一手」と期待するのが、訪日観光の促進だ。11日から実施する水際対策の緩和に関し、円安メリットを生かして「訪日外国人旅行消費額、年間5兆円超」を目指す。
 さらに中長期的には「構造的な賃上げ」に取り組むと表明。賃上げが人材の移動を呼び込み、生産性を向上させた企業がさらに賃上げをするという「好循環」を狙ったもので、企業・産業向け指針を来年6月に策定すると掲げた。
 ただ、電力料金抑制の制度設計はこれからで、訪日客消費もコロナ感染の再拡大が水を差す恐れがある。賃上げも「民間の協力がなければ進まない」(首相周辺)のが実態で、現段階では「青写真」にすぎない。
 安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題で失った国民の支持が政策推進に影を落とす恐れもある。首相は演説で「信頼と共感」を重視する姿勢を改めて強調したが、国民の信頼回復に向けた努力が何より求められる。

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