泡盛の酒税軽減、32年廃止 地元酒造所は正念場―沖縄復帰50年

東京, 4月5日, /AJMEDIA/

 沖縄県産で県内に出荷する泡盛などにかかる酒税の軽減措置について、2032年5月までの段階的廃止が決まった。本土復帰から半世紀続いてきた優遇措置の全廃により、一升瓶の泡盛で189円の増税となる。地元の酒造所にとっては、税制上の支援に頼らない自立的な経営を実現できるか正念場を迎える。
 優遇措置は1972年、軽減率60%で始まった。米軍統治下の税率が低かったため、徐々に本土に合わせるのが狙いだった。その後、軽減率は縮小され、現在は泡盛が35%、オリオンビールなど「その他の酒類」が20%。一升瓶の泡盛は、県外で540円の酒税がかかるが、沖縄では351円にとどまり、県内での消費促進に一役買っていた。
 しかし、政府・与党はメーカーの経営努力を促す観点などから、見直しを決定。泡盛に関しては、県内出荷量に応じて酒造所を「大規模」「中規模」「小規模」の三つに分類。大規模の場合は24年に軽減率を25%、中規模は30%にするなど段階的に引き下げ、32年に廃止する。小規模については現行措置を当面維持し、32年に全廃。ビールなども26年までに段階的に優遇措置をなくす。
 今後10年間が、沖縄の酒造所の経営基盤強化に向けて重要な時期となる。県酒造組合は「廃止まで長いようで短い10年。対策は待ったなしだ」(幹部)と指摘する。若者にターゲットを絞り、大学生向けの試飲イベントや泡盛カクテルのキッチンカー出店を計画。「泡盛離れ」を食い止めようとしている。
 また、政府も海外販路の拡大を支援している。内閣府の委託事業では、バーの雰囲気に合わせたデザインの泡盛ボトルを開発。カクテルでの飲み方を提案して欧州のバーに売り込んだところ、19~20年度に8.8キロリットル(度数は30度換算)を輸出できた。内閣府の担当者は「海外の知名度は低いが、まだまだ展開の余地はある」とみている。

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