改憲議論、進展は不透明 自民「緊急事態」が軸―岸田政権の支持率低迷ネック

東京, 1月17日, /AJMEDIA/

 23日召集の通常国会で、自民党は憲法改正議論の進展を目指す。衆院憲法審査会は昨年12月、緊急事態条項について論点整理を行い、自民、公明両党に加え、日本維新の会、国民民主党などが緊急時の国会議員任期延長の必要性を認めた。ただ、支持率低迷で政策推進力を欠く岸田文雄首相は改憲という大テーマに取り組みにくい状況。野党第1党の立憲民主党も慎重姿勢を崩していない。
 衆院憲法審は昨年の臨時国会で計7回開催された。災害など緊急事態時の国会議員の任期延長について、4党1会派が必要と言及。与党筆頭幹事を務める自民党の新藤義孝改憲実現本部事務総長は「議論が深まったという意味で非常に意義深い」と改憲論議の加速に期待を示した。
 首相は就任以来、2024年9月末の党総裁任期中の実現を公言している。改憲の賛否を問う国民投票は国会発議後60~180日以内と規定されており、同年の通常国会で発議するには、今年中に与野党で改憲原案を具体化させる必要がある。
 ただ、岸田内閣の支持率低迷が続く中、改憲の実現には「相当な体力が必要」(自民党関係者)とされる。首相が改憲に本腰を入れて取り組めるかは見通せない状況だ。
 首相は先の年頭記者会見で憲法には言及せず、賃上げや少子化対策など国民生活に身近な政策課題に力点を置く姿勢を示した。党関係者も「憲法は国民が『聞く耳』を持っている時でなければできない。給料が上がるなど結果を届けなければいけない」と漏らす。
 一方、野党第1党の立民や共産党はもともと改憲項目の絞り込みなど改憲手続きを進めることに消極的だ。立民関係者は議員の任期延長について「改憲ありきではなく、法律で対応できないか精査すべきだ」と指摘。泉健太代表は昨年12月の記者会見で「改憲発議に向けて強硬手段をとることはあってはならない」とけん制した。
 これに対し、国会で共闘する維新の馬場伸幸代表は「改正項目を絞り込み、いつ国民投票するかという議論を始めるべきだ」と主張。憲法に関する「勉強会」設置を持ちかけ立民側と合意した。改憲に慎重な議員を抱える立民が、維新とどこまで足並みをそろえられるかも焦点だ。

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