所得税対象外、与党に配慮 防衛増税、統一選へ懸念強く―岸田首相

東京, 12月9日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相が防衛費増額の財源として増税の検討を与党に指示した。所得税については対象外と表明。来春の統一地方選への影響を懸念する与党側に配慮した形で、今後は法人税を軸に検討が進むことになる。ただ、財界には過度な負担増への警戒感が広がっており、与党内には首相が税目を明示できるか危ぶむ声も出ている。
 「個人の所得税負担が増加する措置は行わない」。首相は8日の政府与党政策懇談会でこう明言した。その上で「財源確保の具体的内容を年末に決定する」として、税目や施行時期を与党税制調査会で検討するよう求めた。
 首相は2023年度から5年間の防衛費について、総額43兆円とするよう関係閣僚に指示。現行の5年間の中期防衛力整備計画は約27兆4700億円で、単純計算で1.5倍以上となる。財源は、当面は歳出改革や決算剰余金、国有資産売却による税外収入を活用するが、不足分は税で賄わざるを得ないというのが政府の考えだ。
 税目に関し、与党内では当初から法人税が中心になるとの見方が強かった。統一地方選を前に庶民の懐を直撃する所得税などの税率引き上げが決まれば反発を受けかねない。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を抱える自民党はただでさえ逆風が予想され、マイナス材料は極力抑えたいのが本音だ。
 茂木敏充幹事長は茂木派会合で増税について、「所得税で個人負担が増加する措置は取らない」と説明。公明党幹部も「所得税は上げさせない」と断言していた。
 ただ、所得税が外れ、法人税がターゲットになれば、「しわ寄せ」を受けるのは企業側となる。ある財界関係者は「法人税に偏るのは納得できない」と語り、地方の経済団体を通じて自民党への働き掛けを強める考えを示した。
 財界の圧力を受けるなどして、与党が明確な方向性を打ち出さない可能性もささやかれる。自民党幹部は「税目は決められないのではないか。『法人税等を含めて今後検討』くらいだろう」との見方を示した。

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