岸田首相、ASEAN引き寄せ狙う 友好協力50年、中国にらみ

東京, 2月10日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相は9日、フィリピンのマルコス大統領との会談に臨み、2023年の対東南アジア諸国連合(ASEAN)外交を始動させた。日本とASEANは今年が友好協力関係50年の節目で、12月には東京で特別首脳会議を開く。東・南シナ海への進出を強める中国をにらみ、日本側に引き寄せることを狙う。海洋秩序維持などを掲げ、連携強化に全力を挙げる。
 日比首脳は会談で、自衛隊と比軍の共同訓練や、米国を含む3カ国の安全保障協力を強化する方向性を確認。首相は共同記者発表で「地域の平和と安定に一層貢献する」と述べた。背景には中国の動向があり、外務省関係者は「日米比の枠組みを深めたい」と語る。
 対米関係でぎくしゃくする場面が目立ったドゥテルテ前大統領と対照的に、昨年就任したマルコス氏は米国との関係改善に取り組む。一方で1月に訪中するなど「バランス外交」も展開する。日本政府関係者はその立場に理解を示しつつ「来日を機にわれわれに近づけたい」と狙いを強調した。
 50周年に当たり政府が設置した有識者会議は、今月3日に発表した報告書で「この地域に大きな影響を与える米中の戦略的競争は激しさを増している」と指摘し、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の実施国を増やすなどASEANとの防衛協力の深化を促した。
 政府は特別首脳会議で、双方の関係の方向性を定めた新たなビジョンを発表する方針。中国との関係も深いASEANとの間で、安保面で具体的なメッセージを打ち出せるかが焦点だ。
 首相は9日、ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長ともオンラインで会談し、ASEAN重視の姿勢を示した。就任後、ASEAN加盟全10カ国のうち足を運んだのは5カ国。外務省幹部は12月の会議までの残る加盟国訪問に期待感を示している。

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