岸田首相、通常国会の「炎上」危惧 自民に内閣改造求める声

東京, 12月27日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相が「政治とカネ」などの疑惑を抱える秋葉賢也復興相を交代させる方針を固めたのは、来年1月召集の通常国会前に火種を取り除き、閣僚3人の更迭に追い込まれた秋の臨時国会の二の舞を避けるのが狙いだ。ただ、野党が照準を合わせる閣僚は他にもおり、自民党内からは内閣改造・党役員人事を求める声が上がる。
 「通常国会に向けてしっかり準備を進めなければならない。それに尽きる」。首相は26日、秋葉氏の人事について記者団に問われると、国会運営最優先で判断する考えを示した。
 臨時国会では首相が恐れた閣僚の「辞任ドミノ」が現実となった。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い関係が取り沙汰された山際大志郎前経済再生担当相ら3人が相次いで辞任。守勢に回った首相は政策面でも野党に譲歩を迫られ、各種世論調査で内閣支持率は3割程度まで落ちた。
 秋葉氏を巡っては、旧統一教会への会費支出や親族への政治資金還流、衆院選の際の秘書への違法な報酬支払いなど数々の疑惑が浮上。立憲民主党などは「4人目の標的」と位置付け、首相に更迭を要求した。教団問題への対応に集中するため臨時国会最終盤でいったん「撃ち方やめ」となったが、野党は通常国会で追及を再開しようと手ぐすね引く。
 通常国会は首相にとり正念場だ。政権浮揚を図れず、来年4月の統一地方選や同時期に行われる可能性のある衆院補欠選挙で結果が振るわなければ、次期衆院選をにらみ首相交代論が浮上することもあり得る。自民党関係者は「このまま召集日を迎えるリスクは冒せない」と解説する。
 性的少数者(LGBTなど)らに対する差別的言動に対し、撤回後も批判がやまない杉田水脈総務政務官の交代を検討しているのも「炎上」を恐れるためだ。
 ただ、問題を抱えるのは秋葉、杉田両氏にとどまらない。自民党内には、防衛費増額に伴う増税方針に公然と異を唱えた高市早苗経済安全保障担当相や、調整力不足が指摘される高木毅国対委員長らの交代論もある。党中堅は「火種は一掃すればいい」と強調。閣僚経験者は「改造に踏み切った方がいい」と語った。
 野党は勢いづく。立民の安住淳国対委員長は記者団に「仏の顔も三度までと言うが、4人目はさすがに首相自身の責任が問われる」と批判。共産党の小池晃書記局長は記者会見で「首相は退陣すべきだ」と主張した。

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