国葬16.6億円、野党納得せず 積算根拠要求、国会日程決まらず

東京, 9月7日, /AJMEDIA/

 安倍晋三元首相の国葬の全体経費について、政府が6日、16億6000万円程度を見込んでいると初めて明らかにした。当初は金額が確定する国葬後に開示する方針だったが、事前公表を国会の閉会中審査の条件とした野党に押し切られた。だが、野党はなお納得せず、警備費などの積算根拠も示すよう要求。与党は8日にも閉会中審査を開きたい考えだが、合意は見通せない。
 3週間後の27日に迫る国葬に関し、報道各社の世論調査では「反対」「評価しない」などの否定的な声が増加の一途。政府は参列する要人の数が未定だとして全体額の公表を拒んできたが、世論の逆風に危機感を強めた岸田文雄首相が早急に国会で説明する必要があると判断、方針転換に追い込まれた。首相は6日の自民党岸田派研修会で「ぜひ丁寧な説明を続けることによって国民の理解を得ていきたい」と重ねて訴えた。
 国葬の経費について、立憲民主党幹部は「総額100億円近くかかるのでは」との見方を示していた。各国要人が出席した2019年10月の「即位の礼」の警備・接遇費が約90億円だったことを踏まえた発言だが、政府高官は「あり得ない」と否定。今回の概算額公表は、「100億円」の数字が独り歩きしないよう打ち消す狙いもあった。
 ただ、今回示された警備費(8億円程度)、外国要人の接遇費(6億円程度)は、いずれも海外から参列する「首脳級等の代表団の数が50程度」と仮定した上での見込み額。立民幹部は「即位の礼と開きが大き過ぎる」と疑問を呈し、政府高官も「海外要人が増えたら上振れするかもしれない」と認める。
 概算額について、立民の安住淳国対委員長は6日、政府が先に式典経費として約2億5000万円の支出を決定したことに触れ、「トータルで6.5倍にはね上がった」と記者団に指摘。「これで本当にファイナルアンサーとは思わない」と不信感をあらわにした。
 その上で、警備に当たる警察官の人数などが不明だとして「根拠がよく分からないので、閉会中審査の前に精査して出していただかなければならない」と迫った。これに対し、松野博一官房長官は記者会見で「警備に支障を来しかねない」として、具体的な警備体制の開示を拒んだ。
 こうした中、衆院議院運営委員会の与野党筆頭理事が閉会中審査の日程協議を続けた。国民理解を重視する首相の意向を踏まえ、開催を急ぐ与党に対し、野党が新たな条件を突き付けて遅らせる構図になっている。

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