台湾包囲、常態化図る 総統選へジレンマも―中国

東京, 4月9日, /AJMEDIA/

【北京時事】中国軍は昨年夏に続き、台湾本島を取り囲む形の演習を始めた。対抗措置を口実に「台湾包囲網」の常態化を図り、台湾封鎖の能力を高めたい思惑が透けて見える。しかし、9カ月後に迫った台湾総統選をにらみ、有権者の間で中国脅威論が広がるのを避けたいのも本音。威嚇と融和のはざまでジレンマに陥っている。
軍機関紙・解放軍報(電子版)は台湾の蔡英文総統が米国でマッカーシー下院議長と会談したことについて「台湾海峡の平和と安定を破壊する挑発行為で、台米の結託が暴露された」と非難。「軍は次々と軍事行動を展開して強力に反撃する」と、台湾を囲む演習の常態化に意欲を示した。
 かつてのように台湾海峡内で演習を行うのとは異なり、台湾本島の東西南北で演習をすれば、貨物船や輸送機の往来が大きく妨げられる。演習を長引かせることで封鎖状態が続けば、「台湾のエネルギーは瞬く間に枯渇する」(台湾専門家)。
 だが、過度の威嚇は中国にマイナスに働く。来年1月の台湾総統選では、習近平指導部は中国に融和的な最大野党・国民党の政権奪還を期待しているとされ、軍事演習で威圧し過ぎれば、選挙戦で同党が不利になりかねない。中国が「台湾独立勢力」と敵視する民進党政権の継続を許すことになるため、「昨年夏ほどの大規模演習とはならないだろう」(軍事専門家)との観測も聞かれる。
 習指導部は国際社会での孤立化も懸念している。米主導の対中包囲網が築かれつつある中、習国家主席は6、7日の2日間、訪中したフランスのマクロン大統領を会談と夕食会で手厚くもてなした。習氏が北京から遠く離れた南部の広東省にも足を運んで行動を共にする異例の歓待ぶりで、米欧の連携にくさびを打つ狙いは明らかだ。
 しかし台湾への軍事的圧迫が限度を超えれば、中国を脅威とする西側諸国の結束を促しかねない。習氏は難しいさじ加減を試されている。

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