参院山形、擁立見送り視野 党内に不満、選対委員長責任論も―自民

東京, 4月12日, /AJMEDIA

 夏の参院選山形選挙区(改選数1)で、自民党は候補擁立の見送りも視野に山形県連との調整に入った。2022年度予算に賛成するなど与党に接近する国民民主党の現職が出馬するためだ。ただ、地元だけではなく党内からも「不戦敗」への反発が強まっており、一部では県連会長を務める遠藤利明党選対委員長の責任を問う声も出始めた。
 自民党の茂木敏充幹事長は11日の記者会見で、山形選挙区について「遠藤氏の下、擁立に向けた調整を続けていると承知している」と指摘。遠藤氏と県連の協議を見守る立場を強調した。
 遠藤氏は9日、山形市内で開かれた県連会合に出席した。関係者によると、遠藤氏は「勝てる候補がいない」と説明。与党と国民が原油高騰対策をめぐり協議していることに触れ、「国の動きを見ながら最終的な決定をしたい」と語った。
 これに対し、出席者からは「擁立すべきだ」「見送れば自民党が崩れる」との主戦論が続出。会合は2時間以上続き、時折怒号が響いた。県連幹部は「対応は遠藤氏に一任している。出さないのだろう」との見方を示した。
 山形では野党各党の地元組織が協議して国政選挙や知事選の候補を擁立・支援する「山形方式」が定着。2016年と19年の参院選、昨年の知事選はいずれも自民を破った。特に16年は現在国民の筆頭副代表を務める舟山康江氏が約12万票差で圧勝した。
 遠藤氏には舟山氏を取り込み、山形方式にくさびを打つ狙いがあるとみられる。ただ、自民党が選挙区で擁立を見送れば極めて異例だ。夏の参院選で32ある改選数1の「1人区」のうち、自民候補が不在なのは、12日に決定予定の宮城を除き山形のみだ。
 そもそも舟山氏は野党として戦う考えで、10日も山形市内で記者団に「野党の立場で活動していく」と述べた。
 自民党の国会議員は反発している。比例代表の改選組は「選挙区候補がいなければ比例票も出ない」と危機感を募らせる。国民現職と戦う大分県連幹部は「敵に塩を送るのと同じだ」と憤慨。安倍派中堅は「戦わない選対委員長が陣頭指揮を執れるのか。擁立見送りなら参院選前に辞めるべきだ」と冷ややかに語った。

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