原発安全性、かわす岸田首相 「60年超」立民が撤回要求―参院予算委

東京, 3月2日, /AJMEDIA/

2023年度予算案に関する論戦の舞台が1日、参院予算委員会に移った。立憲民主党は60年を超えて原発を運転できるようにする政府方針を取り上げ、「非科学的だ」と批判して撤回を要求した。岸田文雄首相はロシアのウクライナ侵攻などに起因する「エネルギー危機」を強調。安全性については正面からの答弁を避け、議論は平行線をたどった。
政府は2月28日、「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」を閣議決定した。既存原発は「原則40年、最長60年」とする従来の運転期間ルールを緩和し、安全審査などに伴う停止期間をカウントしないことで「60年超」の稼働を事実上可能にする内容だ。1日の予算委は、野党が閣議決定後初めて本格的にこの問題をただす場となった。
 首相は昨年末、原発を「最大限活用」する方針に踏み切った。国会での説明を後回しにする形となったこともあり、今国会で野党側は政権を追及する主要テーマの一つと位置付ける。
 立民の辻元清美氏は「国民には心配が多い。どうして(60年から)延長したいのか」と質問。首相は「エネルギー危機に直面する中、あらゆる選択肢を確保する必要がある」と訴えた。
 ただ、停止期間分を上乗せして運転延長しても安全性が科学的に担保されるかどうかについては、首相は「原子力規制委員会に安全性を確認されたものでなければ運転できないという仕組みが大前提だ」と答えるにとどまった。
 辻元氏は、規制委の山中伸介委員長から「運転停止期間中も(原発の)劣化は進む」との答弁を引き出した上で、首相に再三「見解は同じか」「合理的な説明を」と迫った。だが、首相は運転開始後30年を超える場合、その後10年を超えない期間ごとに規制委が検査をするため問題はないなどの説明に終始。審議が一時止まった。
 再開後も辻元氏は、運転開始から40年を超えた国内の原発で経年劣化によるトラブルが生じた事例を列挙。停止期間分の上乗せを「裏口入学だ」と厳しく批判したが、首相は「安全確認をしっかり行うことで原発の運用も追求する。世界的なエネルギー危機の中で重要だ」と繰り返した。
 立民などはGX法案の審議でも引き続き追及する構え。辻元氏は質疑後、法案について記者団に「矛盾だらけだ」と断じた。

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