円安、金利差拡大で加速も マイナス金利は日本だけに

東京, 9月11日, /AJMEDIA/

 ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高で拍車が掛かるインフレを抑えるため、海外の中央銀行が大幅利上げを進め、大規模な金融緩和を続けている日銀との違いが一段と鮮明になってきた。内外金利差の拡大で円安がさらに加速する可能性もある。
 日銀と同様にマイナス金利政策を導入していた欧州やデンマークの中銀は既にマイナス金利を解除し、今月中にはスイスの中銀も追随する見込み。日銀は21、22両日の金融政策決定会合でも現行政策を継続し、マイナス金利を維持する見通しで、取り残される形となる公算が大きい。
 米連邦準備制度理事会(FRB)は歴史的な高インフレを退治するため、景気減速を招いても利上げを続ける姿勢を明確にしている。FRBは日銀会合直前の20、21両日に開く会合で、通常の3倍のペースとなる0.75%の利上げを3会合連続で決めるとの観測が強い。新興国の中銀も米国への資金流出を警戒し、利上げに乗り出している。
 こうした中でも日銀が大規模緩和を続けているのは、コロナ禍からの景気回復を引き続き支える必要があると判断しているためだ。日銀が動かないと踏む外国為替市場では投機的な円売りもあり、円相場は7日に1ドル=144円99銭と、約24年ぶりの安値を更新した。
 日銀の黒田東彦総裁は9日、首相官邸で岸田文雄首相と会談した後、急激な為替変動は「好ましくない」と円安をけん制。円相場を1円以上、円高方向に押し戻すきっかけとなった。ただ「日銀だけ金融政策の方向性が違えば円安基調は当面続く」(市場関係者)との見方は強い。
 世界的なインフレ下で円安が進めば、輸入品の価格上昇を通じて日本の物価も上がる。東短リサーチの加藤出社長は「日本の国民は購買力をそがれ、金融政策によって生活費が上がる迷惑な話だ」と指摘。マイナス金利の長期化が金融システムに与える副作用も大きいとして、「本来であれば、日銀は政策修正を行うタイミングだ」と話す。

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